334.《ネタバレ》 80年代以降のホラー映画は、血みどろのスプラッターか、特殊メイクやVFXで気持ち悪いクリーチャーを観せる“観客を驚かせる”ジャンルと、ある種の固定観念が出来上がっていたところに、日本から強烈な一石を投じたのが、このリングだったと思います。 開発が進んで便利になった生活に、徐々に入り込む余地が無くなってきた“呪い”というジャンル。それを“ビデオ”という、家電の中でも割と後発の機器と結びつけ、都会の中で恐怖を引き起こしたアイデアが素晴らしい。 もうね、最初の智子と雅美(うわ、竹内結子と佐藤仁美だ、若っ!)のシーン。当時の家の中の蛍光灯の冷たい明かり。電気スタンドの白熱球の温かい光。光が届いてないところの薄暗い感じが、懐かしくもあり、何かが潜んでいそうで怖い。LED照明だとあの感じ出ないんですよ。ブラウン管テレビのザラザラ具合も懐かしい。液晶の今と比べると低画質のザラついた映像と、放送終了後の砂嵐の無機質さ、寂しさを巧く恐怖に結びつけてます。 呪いのビデオというアイデアだけ聞くと、殺害シーンとか死体映像なんかを連想してしまうけど、ビデオの内容が何とも意味が解らず、不気味で怖い。あのヒリヒリした音。ジャワジャワ動く文字。私は頭に布をかぶった指差し男にゾワッとしました。暴力とか直接的な表現のホラー映画が多かった当時、心理的に恐怖を感じさせる表現に圧倒されました。ビデオを観た人物の、写真の顔が崩れてるのも怖い。ビデオという新しい恐怖を創る下地として、心霊写真という当時のポピュラーな怪奇現象を入れるのも巧いです。 モニターから出てくる貞子の映像については、観客に恐怖を与えられるか、興ざめされるか、制作陣も入れようかどうしようか判断に迷ったでしょうけど、あの見開いた目が怖いので、正解だったんだと思います。 ここまでで充分満足出来るホラー作品ですが、そこからもう一歩進めて、ビデオデッキを積んで父親のもとに向かう玲子という、悲しい怖さを入れるのも素晴らしかった。特に中盤で孫と祖父の仲の良さを入れてるものだから、残酷さが際立っている。凄い。 余談だけど、みんな運転荒いね。特に松嶋菜々子。徐行運転しない感じ。あと後部座席の人がシートベルトしてないのも、時代だねぇ。 【K&K】さん [地上波(邦画)] 8点(2024-11-11 00:25:47) |
333.《ネタバレ》 晩夏の夜。テレビに垂れ流しのプロ野球中継。友だちと勉強の合間、息抜きに怖い話になって…… オープニングシーンの、この空気感は本当に見事だ。ブラウン管テレビ、ビデオテープという媒体が過去のものになっても、このリアルさだけは色褪せない。 冒頭で死亡した少女が主人公の姪であるという繋ぎ方も巧いし、この主人公を女性にしたことで、鈴木光司作品の男性的で脂ぎった世界観を払拭しているのも成功ポイント。随所に脚本の妙が光る。呪いのビデオの映像センスについては神が宿ったとしか言いようがない(あの「指差し男」のインスピレーション源について調べると、さらに背筋が凍ることになる……)。 すでに四半世紀前の作品になってしまったのに、今だに「モダンホラー」と呼びたい。そんな作品。 【乱泥】さん [ビデオ(邦画)] 10点(2024-06-29 01:29:11) |
332.お話自体は取り立てて優れているとは思えず、結構演出が大袈裟に感じられる部分もあります。あのフラッシュバック等何の説明もなく唐突に出てくるので違和感しかありません。しかし作品公開から既に20年以上の月日が流れていることも影響しているのですが、今見直すと妙に映される光景に懐かしさを感じられて嫌いにはなれないですね。今見ても本気で怖いというよりは薄暗い部屋や電話の着信音、画質の悪いビデオ映像、こういったものが確かに子供の頃は怖かったなあという、これらが恐ろしくて仕方なかった頃の記憶を呼び覚まされる郷愁混じりの怖さを味わえると言いますか。VHSも消え去って中田秀夫監督もジャパニーズホラーというジャンルも何だか半分冗談みたいな作品ばかりになってしまった昨今、これは確かにあの頃は本当に怖かったんだという思い出は大事にしたいのです。 |
331.《ネタバレ》 20年ぶりくらいに再び鑑賞。やはり良作のホラー。 ただ悪霊が出てきて祟り殺すようなチープな内容でなく、呪いのビデオを謎を解きあかしていくサスペンス仕立てになっている。 圧巻はラストシーン。子供を救うべく父親にビデオを見せるべく車を走らせる松島。 父親を犠牲にしてまで子供を助けようとするその狂気に戦慄する。 確かに、父親も誰かにビデオを見せれば助かるわけで、決して父親が死ぬと分かった訳では無い。 しかし、最後の松嶋菜々子が浮かべる不気味な笑みには、父親を助けようという意図は感じ取れない。 ナレーションで入る女子高生の、少しためを作ってからの「やるでしょ」が「殺るでしょ」に聞こえるわけである。 また、同時に女子高生の話から、なぜこの作品のタイトルが「リング」であるかが分かる。そして今後貞子の呪いが際限なく広がっていくことを暗示して物語が終わる。 このナレーションのかぶせかた、まっすぐな一本道を車が走るのを俯瞰でとらえるカット、絶妙のタイミングで入る音楽など、すべてドンピシャで最後に強烈な恐怖を植え付けてくれる。 【椎名みかん】さん [インターネット(邦画)] 8点(2023-08-12 05:58:36) |
330.《ネタバレ》 鈴木光司の原作小説3部作の中でも、第1作のリングは、ホラー色が強く、遺伝子コピーによる生物の増殖モデルを電子媒体に適用するという当時としては卓越したアイディアと、それをホラー作品に仕立て上げた手腕に、読んでいて鳥肌が立ったのを今でも覚えています。原作がヒットしてから映画化まで、かなり時間が経っていたので、映画ヒット時は、ちょっと今さら感があって見そびれてしまいました。死者の驚きの表情が素晴らしいですね。呪いのビデオの静的な不気味さがなかなか良いなと思いました。原作ではもっと動的なシーンが含まれていたような気がしますが、むしろこれでいい気がします。例の貞子がテレビから出てくるシーンは、思わず笑ってしまいました。怖さという面では、正直どうかと思いますが、新たな萌えキャラ誕生という面では、エポックメイキングな出来事ですし、評価しないわけにはいきません。 【camuson】さん [3D(字幕)] 6点(2023-02-27 20:52:55) |
329.《ネタバレ》 アイデア自体はもう古いですね、今ならYouTubeにアップしてジ・エンド。 ホントに怖かったのはエンディング。自分なら息子のために、父親にビデオを見せるだろうか。その後にまた誰か別の人に見せて父親も助けるつもりなのか。それとも父親を犠牲にしてリングを絶つつもりなのか? 【amicky】さん [インターネット(邦画)] 6点(2022-11-06 22:32:11) |
328.《ネタバレ》 恐怖演出は抜群に上手いです。ゾッとさせるような小ネタ満載で、そこにドンピシャの音楽や効果音が当ててあり、ホラー好きとしてはニヤニヤしっぱなしでした。ただ、残念ながら脚本がいまひとつ。原作にあったキンタマやらレイプやら、とっつきにくい要素を削ったのはOKだと思うのですが、肝心の呪いのビデオが生まれた経緯に、全く触れてないのはいかがなものでしょう。それに電話が鳴った鳴らないだけで、井戸の場所を特定するのは不可能だと思います。初めてこの映画を見た時、面白いんだけど、なんか釈然としなかったのは、そういう点だと思います。そのあたり、原作では丁寧に描かれていますし、なぜダビングがキーになるのかも説明されています。 【54dayo】さん [インターネット(邦画)] 8点(2022-09-18 12:33:19) |
327.《ネタバレ》 ここらでひとつ、古い映画の恐怖感を再度味わってみようと思いつつ鑑賞したのがいけなかった。 最初に観た当時は、例のテレビから出てくるシーンとかけっこう怖かった記憶があるのだが、今回はメーターはさっぱり振れず。 本来感覚的に怖がらせる筋書きのはずなんだけど、多分に視覚描写に頼ってしまった分、時を経て観ると悲しい結果になってしまう。 貞子とその悲しい運命をもっと深く掘り下げてたら、じわじわ来たんだろうなあ。90分にまとめろって言われて、監督も困ったんだろうなあ。 役者陣も、真田先生が孤軍奮闘って感じで、松嶋さんとかまだ駆け出し感が凄まじい。 竹内結子の友達役って誰だ?って思ってエンドロールで確認したら、佐藤仁美さんでした。そして彼女の眉毛が気になってそこばっかり注視してしまった冒頭シーンであった。 |
326.原作は読んだけど、映画は観たかな...と思ったが、比較的原作に忠実だろうと思う(記憶は薄いし、小説はもっとのめり込んだ気がする)。 物語としてよく出来ているので、この後のブームも当然か。 【simple】さん [地上波(邦画)] 6点(2019-12-22 18:17:44) |
★325.《ネタバレ》 原作同様、実はホラー&ミステリーというミックス作品と言える。どちらの筋でもまずまずの映像化だとは言えるが、原作と比べるとミステリーの謎解き面はやや簡略化されている。ならば、もう少しだけホラー面のショック描写を頑張らないと映画にした意味が薄くも感じられてしまう。Jホラーの時代の先駆けではあったのだが。
やはりミステリーが絡む作品は、オチを知ってる状態で観るかどうかも大いに評価に関係してくるのだろう。とりわけ、原作の完成度が高ければ高いほど、猶更そうかと。その意味では、原作未読で観たら全く別の評価になっていた作品だと言えるのかも知れない(これと、他には『レベッカ』なんかもそうだと思う)。 【Yuki2Invy】さん [インターネット(邦画)] 5点(2019-11-20 21:43:19) |
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324.《ネタバレ》 「映画よりウン十倍も怖い」と恐れられる原作小説は未読です。映画と違ってノヴェルは文字が読む人の想像力を刺激するので、確かに映像化作品は原作と勝負となると分が悪い。自分の経験から言っても、原作より怖かったホラー映画は『シャイニング』ぐらいのもんです。でも本作は『死ぬまでに観たい映画1001本』に選出されるぐらいですから、たしかに一回は観てみる価値はあります。 さすがの自分でもリリース当時に観てそれなりに怖がった記憶はありますが、ぶっちゃけてしまうとこの映画はラスト近くの例の貞子の出現シーンがすべてで、言ってみれば“逆出落ち”みたいなものです。キャストも松嶋菜々子は明らかにホラー向きじゃないし、真田広之はカッコよすぎて違和感が強い。二人は離婚した夫婦という設定観たいだが、松嶋が養育する息子に父親である真田が全編通してまったくかかわらないところがヘンと言ったヘンでした。これが原作通りならばなぜそうなるのかが描かれているでしょうが、そこらへんの人物描写が薄いと思います。でもこの映画の怖がらせ方は、説明できない恐怖という要素がホラーには必要だというのが信条であるわたくしには満足できるところです。とくにあの短いビデオ映像のシュールな感じが良いんです。静子の父親役でオールドファンには懐かしの新東宝きっての怪優・沼田曜一が起用されているのは嬉しい限りです。 貞子はその後さんざんパロディのネタにされてしまいましたけど、考えてみれば彼女こそ日本映画界が生んだ最大の異界モンスターであることは間違いなしだし、本作がJホラーというジャンルを世界標準にした功績は消えることはないでしょう。 【S&S】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2019-10-25 23:40:23) |
323.《ネタバレ》 個人的にはジェイソン、フレディ、チャッキー、貞子で四天王としても良いくらいのキャラやと思ってます。テレビから出てくる場面は衝撃的。子どもが観たらトラウマになるであろう。面白いか面白くないかはさておき、日本の映画史に残る作品であることは間違いない。 【いっちぃ】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2019-01-04 20:04:24) |
322.ものすごーく久しぶりに観て、そういや初めて観た時に何だか妙な映画だなーと思ったことを思い出しました。で、今観ると、すべて納得、という訳じゃないんだけど、何となく、なるほどなー、とも。 そもそも主演がどうしてまたよりにもよって松嶋菜々子なんだ、と。そこまで言われる筋合いは無いかも知れませんが(笑)。でも原作のイメージとはかけ離れてる。で、映画の印象はというと、ああこれは「女性の映画」なんだなあ、と。呪いのビデオの噂をする少女たちがいて、主人公も女性で(真田広之は強い男性のイメージかも知れないけれど、あくまで彼女を励ます立場)、貞子姐さんもどうやらアンドロギュヌスではないのか、普通に女性として登場しウラメシヤとのたまう(言ってないけど)。 少々後ろめたいラストも、あんまり後ろめたくなくって、どっちかっていうとターミネーターのラストのサラ・コナー。 本作観てて、背景でエキストラが何やらモゾモゾやってたりするのが、何となく違和感あったんですけど、その後『女優霊』を観て、あーこういうのが好きなのね、と思ったり。背景にいるのが普通の人かそれともオバケか、という違いだけで。 あと、古井戸の蓋を開ける場面って、何が起こるやらという緊張の場面なんだろうけど、どこか淡々としている。こういう場面、アメリカ映画なら井戸の中からカメラを構える感じで、ギギーって蓋が開いて光が差し込んでくる、ってなカットを入れそうな気もしたんですが。ここ、本作ではもっと順序立てていて、井戸を開け、中に入り、その後で見上げる。この世とあの世の境目に徐々に踏み込んでいく感じ。で、じゃあそれって面白いのか、コワいのか、という話にもなるんですけど、まあ、どうなんでしょ(笑)。嵐の場面と、例の「飛び出すテレビ」の場面(はは、こりゃデモンズ2だ)とに挟まれて、こういう静かな見せ方も、アリだよなあ、と、今回、思ったのでした。 【鱗歌】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2017-09-09 04:00:18) |
321.びっくりするほど怖くないのです。それは、何かが起こる前提としての登場人物の日常生活が、全然描かれてないから。したがって、それが揺さぶられたり破壊されたりする恐怖感なり逸脱感が発生してきません。輪をかけて、役者の演技もみんなぱっとしないし、撮り方も平坦でべたっとして奥行きがないとなれば、見るべきところがありません。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 1点(2017-08-09 22:44:16) |
320.《ネタバレ》 ホラーというか、基本的な筋はミステリーですね。しかしミステリーにしては、とんとん拍子に謎が解けていき、ご都合主義的で面白くない。高山のサイコメトリー風能力も、都合よすぎる。貞子に手を握られるあたりの展開は面白いと思いますが。 ビデオのルーツを探るミステリーということで、まったくこわくない。貞子がテレビから出てくる画はインパクトがありますし、ところどころおっと思わせる映像もあるのですが、どうも全体的に平板。一番ゾッとするのは、「助かるにはビデオをダビングして人に見せなければならない」、つまり呪いのビデオが無制限に増えていくということで、それこそが「存在を闇に葬られた」貞子の真の呪いなのではと思わせるところはよい。あとは玲子がドクロを抱きしめる場面。松嶋菜々子はしゃべらなければいいんですけどねぇ。 ということで、日本の映画史におけるエポックな作であることを認めるにはやぶさかではないですが、そういうことで高く評価するのは評論家の仕事でしょう。映画好きとしては“その映画の持つ意味”とかはどうでもよくて、内容がすべて。この内容ではたいして評価できません。 【アングロファイル】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2017-08-06 21:17:38) |
319.1990年代後半はリングが流行った覚えが強い。 今観ると竹内結子若いねぇ。 小説では推理調が強かった覚えがあるのが、そこはやはり映画ということで恐怖を全面に制作されているんだけど、なんたって怖くないんだなこれが。恐怖のエンジンかかるのが遅い。映画としてはちょっと微妙かな。 それでも呪いのビデオテープを見て1週間以内に死ぬというアイデアからホラーシンボル・貞子のキャラ確立はさすが。 ジャパニーズホラーを代表とし、後に火付け役になったリングが凄いことは認めます。 補足だがパチンコCRリングは本当に完成度が高い。 忠実に映画を再現している。大当たり中のfeels like HEAVENは懐かしさからなんとも感慨深い。 |
318.《ネタバレ》 呪いのビデオ!貞子がテレビから出てくる!僕が知っている情報はコレだけだ。 当時少年時代の恐怖の対象でありもう、イジリ倒されたJホラーのヒロイン貞子。 呪いのビデオを見た人間を一週間後テレビから出てきた貞子が首を絞め殺しまくる話かと勝手に思っていたがちょっと違う。いや全然違う。 ビデオを見てしまった主人公達が映像を検証、そしてその映像をヒントに真相を探し出していく展開にはワクワクしました、慌てふためくのではなく呪いという超現象に立ち向かっていくとは思わなかった。そして出てくる話の真相はよくわからないけど、とりあえず貞子のパワーは凄いという話なんですね。まぁ旦那がサイコメトリー能力があるのにはちょっとガクっと来ましたが。あくまで一般人であってほしかった…。 まぁとにかくラストの貞子シーンはやっぱりシュール。というか映像はシュールなんです。 だけど音が怖いんですよ、音が。あのスローかけまくった音声がとにかく最悪!にして最高! それに常に暗い映像なのもいいですね、登場人物の瞳がみんな黒いのもたまりません、あとやっぱりVHS! あの媒体の存在感が良いですよ、あのノイズといい、誰でもなんでも録画できちゃう感じといい今のメディアにはないちょっとアナログな感じが怨念みちたモノを感じさてくれます、それになんてったって「黒い」ですからね! 呪いのビデオの映像もいいですねぇなんとも怪しく、寺山修司頃の如何わしさというかそういう雰囲気でたまりませんね! 最終的にチェーンメール(これも死語になってしまった)的な呪いというベタなオチですが知らなかっただけに「オオーっ」と唸ってしまいました。 なんだかんだ怖く楽しい流行るだけの事は確かにある素晴らしい作品でした。 それと真田広之は格好良すぎてびっくり。 【えすえふ】さん [インターネット(字幕)] 7点(2017-01-25 12:14:28) |
317.《ネタバレ》 あれから18年。すっかりこちらのテレビも薄くなっているわけで、どうにも埋めがたい気持ちの隔たりと、ちょっとした申し訳なさを感じないわけにはいかない。映画の印象もずいぶん変わった。貞子の服やパーマ、こんなにきれいだったかなあ?子供時代に感じた、お化け屋敷な印象はきれいさっぱりなくなった。ホラーらしくない落ち着いた映像と趣味の良い美術、素朴な演技などは今だからこそ共感できる部分も多い。 思えば、テレビは一家だんらんの明るい象徴だった。それが核家族化により一家に一台からひとりに一台へ、お茶の間から個室へと移り変わる。ちょうど当時としてはテレビの存在が、暗闇を映す鏡のような異世界へのチャンネルとしての魔術性を帯び始めた頃合いだったのかもしれない。 「呪いのビデオを見ると一週間後に死ぬ」ホラーの題材としては一見子供っぽく感じる。しかし観客の気持ちをしっかりとつかんで離さない重厚な雰囲気づくりは見事だ。 私たちは、これ以上深入りしてはいけないような禁忌と、それでいて行かなければならないような使命感の狭間に揺れる。聞こえるのは深い井戸に眠る貞子の呼び声だろうか。貞子の登場は最後だけなのに、ずっと画面に気配が感じられるのはそのせいなのかもしれない。 ビデオの呪いを解くために手がかりを探る主人公たち。彼らはその過程で博士と志津子の悲しい関係を知る。まったく無関係な二組の夫婦だが、共鳴し、引き寄せ合うように、彼らの記憶は少しずつ重なりあっていく。 過去と現在。ふたつを結ぶトンネルの最も奥深くに彼女はいた。髪は抜け肉はドロドロに腐り落ちている。しかし不思議とそこには「恐怖」がない。玲子をここまで突き動かしてきたのは「呪いを解きたい」「まだ死にたくない」という、いわば自分勝手な動機だった。だがもはや玲子の表情に恐怖や焦りの色はない。大切な何かを思い出したかのような安堵が広がっているだけである。 まったく見ず知らずの間柄だった玲子と貞子。「他人なのに他人じゃない」今はそれがはっきりわかる。ずっと探し求めてきた貞子の亡骸を愛おしそうに抱きよせるシーンは、まるで赤ちゃんの出産場面を見ているかのようで感動した。 【月の】さん [地上波(邦画)] 8点(2016-08-27 21:04:41) (良:1票) |
316.松嶋菜々子ちゃんが可愛い。 何度見ても飽きない映画です。大好き。 【新しい生物】さん [DVD(邦画)] 9点(2015-11-10 02:44:37) |
315.《ネタバレ》 高評価してる人には申し訳ないんですが大した事ない映画です。なぜなら恐怖映画なのに恐い要素が弱いから。【見た者が死ぬビデオ】って設定からして興醒め。子供騙しの噂レベル。連続で出てくる不気味モノクロ映像は怖がって欲しさ見え見え。霊だろうと実体だろうと、ブラウン管から女がゴソゴソ出て来られたら怖がるより笑うし。それよりも何よりも貞子が化けて出てまで、ビデオ見る多くの人を次々と死に追いやる理由が『無い』。動機が無い。という事でつまり、ストーリーが出来てませんので低得点でした。不気味な映像だけ連発すりゃ怖いってもんじゃありません。 【役者の魂】さん [地上波(邦画)] 3点(2015-04-18 22:01:09) |