★46.《ネタバレ》 大みそか~元旦に架けてのタイミングで観たい映画でした。この度、願い叶っての視聴でしたが、心地よい眠りに落ちてました。。。で、新年に再視聴。 雪深い港町。場末の居酒屋で美人の女将とNHKで紅白観て、八代亜紀の舟歌、そして深夜の初詣…日本人の心にじんわりと沁みますねぇ。でも“演歌”って、遡ると昭和40年代から昭和末期までの、20年ちょっとブームになった、当時の流行歌だったんです。ある程度年齢を重ねた男女の歌。身勝手な男と泣かされる女の、しみったれた関係を歌った、この“日本人の心=演歌”という一大ムーブメントは、この映画の頃がピークだったと思います。この映画は、そんな演歌のイメージビデオのような作品でした。
ロケーションが絶妙でした。日本海・増毛という終着駅が舞台です。そこから船で行く御冬。当時、海路でしか行けない陸の孤島でした。作中、伯父さんが語ったように、御冬は国道231号で陸路が繋がります。便利になった反面、単なる通過点の田舎町になってしまいましたが… 吉松を捕まえる上砂川駅の線路の多さに驚きです。この映画のすぐ後に炭鉱が閉山し廃線。人口も激減し、民家が点在するだけの集落と化しています。今も昔も札幌の街はにぎわってますね。パルコや西11丁目駅が懐かしい。留萌に人が溢れてて、まだ映画館があるのが時代を感じます。 北海道って札幌のようなオリンピックで急発展した都会があって、田舎は田舎のままで懐かしさを感じさせ、寂れた港町に炭鉱に陸の孤島が、まだある。徐々に近代化が進み、失われつつある懐かしい日本の風景。演歌と共に、これぞ日本人の心!ってイメージを創りあげてます。
ストーリーは、刑事ものとして森岡を追う映画かと思いきや、英次の目を通して、その時々の3人(3.5人?)の“女”の生き様を観せる映画でした。でも最初の女二人が映画の尺としては短めで、続く桐子がメインなため、一本の映画としてはバランスが悪い印象を受けます。 元妻・直子。彼女の浮気が原因らしいが、そもそも家庭を顧みない(と思われる)英次に三下り半を突き付けられる。涙を流し、笑顔で敬礼する直子…もうエンディングの画ですよね。夫婦の物語の、エンディングから、この映画は始まります。 犯罪者五郎の妹・すず子。兄思いの彼女を、自分の妹・冬子にだぶらせる。地元に置いてきた冬子が、兄とずっと暮らしてるすず子に似ているのではなく、カッとなる性格という部分が、自分と五郎をだぶらせる。すず子を使い捨てて、アッサリ他の女と一緒になる雪夫の“どのツラ下げて”感。まさに演歌の『弄ばれて捨てられた女』ですね。 そして場末の居酒屋の女将・桐子。帰る場所(家庭)の無い、英次のような男が行き着く場所として、最高の舞台です。歌登出身の桐子が、増毛で居酒屋を始めた理由は不明です。続けてる理由は何となく…でもこんな客が来ない店、当時も続かなかったろうな。英次が立ち寄るためだけに、ポツンと存在する居酒屋。ふつうこんな、独り身の美人女将の店なら、スケベオヤジが居座るか、常連のたまり場になってるか。まぁそんな連中も年越しは家族のモトに帰るんですね。 星座で相性の良さを伝える桐子。御冬神社のお守りを渡す英次。最果ての街から、ぼんやりと新しい人生を歩み出せそうな二人の悲しい結末。この時の、事情を知らない倍賞千恵子の演技の素晴らしさ。前の男が居るタイミングで新しい男が来てしまったバツの悪さから、英次が森岡を知っていることに驚き、森岡から英次(桐子は営林署の人と思ってる)を守ろうとしたところ、森岡の方が撃たれる。全てを察した桐子の「…そういうことか」で終わる二人の新しい人生。 出会い、愛を育み、別れる。三度流れる舟歌の使い方が素晴らしい。終着の増毛から留萌へと向かう汽車(電車か)。見送る人のいない出発。あぁ、日本の心・演歌の世界。
後半、お笑いパートを挟んでくるのが素晴らしい。武田鉄矢との“添い寝”はニヤニヤが止まらなかったです。劇中唯一の英次の心の声『樺太まで聞こえるかと思ったぜ』も、おしとやかな倍賞千恵子のギャップ&不器用な影でそんなコト思ってた健さんのギャップがサイコーでした。 でもね私が一番吹き出しそうになったのは、札幌へ帰る英次を桐子が駅で見送るシーンです。「まだ時間あるぜ」「…じゃね!」のあと、桐子が閉めた出口の扉が、勝手に開くのです!!倍賞千恵子が閉めたけど閉まりきらず、5cmほど隙間のあったアルミサッシの扉が、自然とスーーっと開くんです。その扉から高倉健が「桐ちゃん!」と出ていきます。あぁ扉の裏でスタッフが隠れて開けたのが、映っちゃったんでしょうね。“健さんに扉開けなんて雑用させられない”なんて、スター俳優様の扱い。なんか、凄い時代だったんですね。 【K&K】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2025-01-05 18:45:39) 《更新》 |
45.《ネタバレ》 高倉健と鉄道といえばぽっぽやのイメージがあったので、もっと爽やかな感じかと思いきや、日本的情緒あふれる実にしみじみとした映画でした。 さくらではない倍賞千恵子との絡みがいい。最初の居酒屋での会話から、ラストの居酒屋での倍賞千恵子が一言も発しないシーンとの対比だけでも面白い。 ストーリーもナレーションもなく年月を重ねて淡々と進んで終わるかと思いきや、最後のほうにサプライズもあってこれも気が利いていている。 北海道の冬の厳しさ、八代亜紀の演歌がこれほど似合う作品もないだろう。 【mhiro】さん [CS・衛星(字幕)] 6点(2024-12-26 16:36:17) |
44.この頃からだよなあ、北海道を舞台に降旗監督と山田洋次監督による高倉健さんの争奪戦が始まったのは (笑) 前半の犯罪サスペンスに対して、後半はワケあり中年男女による北の国からさすらい恋慕情編、、となっていて、よくよく考えれば無茶苦茶なストーリーですが、高倉健さんを観て、何かしらを感じるべき映画、もうそれだけでいいのかもしれません。特に、名カメラマン木村大作氏による駅舎の寒々しくも美しい雪の風景が、健さん (の孤独、力強さ) を十分に引き立てています。 その健さんと倍賞千恵子さんが赤提灯でしみじみ飲めば、まさに演歌の世界ですね。私は、2022年の大晦日に観ましたが、年の瀬に鑑賞してよかったとしみじみ思えます。 【タケノコ】さん [インターネット(邦画)] 7点(2023-01-05 21:41:37) |
43.《ネタバレ》 全体的にエピソードを断片的に繋ぎ合わせて構成しており、物語の深みはあまりない。 只、高倉健という役者の圧倒的な存在感が凄い。役柄が狙撃手なので、まるでゴルゴ13に見えてくる。 「駅」と言えば八代亜紀の舟唄、場末の飲み屋で倍賞千恵子との交流の象徴として使われる。(何と3回、そしてラストにも) この唄を聞くと飲み屋のシーンを想い出すほど印象的。 全般的に殆ど冬のシーンで、木村大作の厳しく美しい雪景色の映像が素晴らしい。 【とれびやん】さん [地上波(邦画)] 6点(2022-02-19 18:08:15) (良:1票) |
42.《ネタバレ》 八代演歌の舟歌の世界。大人のメロドラマ。女優陣が良い。倍賞さんはいうに及ばず、いしだあゆみが雪の駅で敬礼しているシーンが好き。 【にけ】さん [映画館(邦画)] 7点(2019-01-23 16:41:10) |
41.《ネタバレ》 昭和後期の日本映画を代表する作品と言っても過言ではありません。高倉健と倍賞千恵子のやり取りは何気ないようで、実は様々な心の機微が蠢いていて、今見てもすごい演技だと感じます。 「舟歌」を代表とする昭和の名曲と、北海道の冬の厳しい情景、そしてローカル線のうら寂しい様が、そして、当時のオールスターとも言える豪華キャストがこの作品の情景を数段ランクアップさせています。 最近、こういう大人の心の機微を描いたシリアスなドラマが少なくなってきているので、本当に心に沁みますね。 【TM】さん [DVD(邦画)] 8点(2018-08-14 02:49:45) |
40.ドラマとしてはまあ「健さんの映画」な訳で日本的情緒山盛りだが、組織の中で自らの矜持を持ちつつも揺れ動く男の気持ちがよくでていたと思います。倍賞千恵子、烏丸せつ子、宇崎竜童といった脇役陣も非常に良かったです。 全編季節感に溢れた北海道の風景が美しく、画的に良いシーンがたくさんあった。この時代北海道が舞台の映画?TVが多かったような気がするが、流行らせようとしてたのかな? 本作の舞台の一つであった増毛駅も雄冬との連絡船も今はもうなくなりました。 【クリプトポネ】さん [DVD(邦画)] 7点(2017-08-21 21:21:16) |
39.3度にわたって流れる「舟歌」がいい。高倉健と倍賞千恵子がだいたい同じシチュエーションで聞いているわけですが、2人の心象風景は3度ともまるで違う。1度目はほっこり、2度目はメラメラ、そして3度目は冷え冷え。それを、セリフで多くを語らず、2人の表情だけで見せる演出にグッと来てしまいました。 ただし、倍賞千恵子といえばやはり「さくら」のイメージが強くあります。今でさえそうなのですから、「寅さん」がバリバリ現役だった封切り当時、観客に違和感はなかったのでしょうか。この作品をもっと楽しむためには、「寅さん」をいっさい見ず、ついでに「ハンカチ」とか「遙かなる」とかもスルーしておくのが一番かもしれません。そう思わせるほど、ザ・日本的情感たっぷりの良作でした。 それにしても、宇崎竜童って稀有な存在ですね。稀代のチンピラ顔にして、稀代のヒットメーカーでもある。「舟歌」もいいけど、続けてラストに流れる曲もさすがという感じです。 【眉山】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2016-09-15 00:35:18) |
38.《ネタバレ》 あゆみさん、烏丸さん、古手川さんの短編集がそれぞれあり、最後の倍賞さんで、一応話が繋がる構成。見終わった後は倍賞編しか全く記憶に残らない程、最初の3本が薄っぺらい。倍賞千恵子はどこか危うい影があり、健さんに惚れていくのも、太い様で細いところが非常に魅力的だ。だから、健さんも最後まで身分を明かすことがないのだろう。短編集的な構成は何とかならなかったのだろうか。悲しい作品ですが、最後が良かっただけに惜しいです。 【SUPISUTA】さん [DVD(邦画)] 7点(2016-08-29 08:09:18) |
37.渋い映画。 気持ちがちょっと落ちている時に観ると少々響く。登場するそれぞれの人が納得のいかないものを抱えていて、それでも、生活は続く。幸せになりたいのになりきれない人々、多くの人たちに通じるが、悲しい。 【simple】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2016-07-06 22:57:51) |
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36.《ネタバレ》 健さん演じるところの警察組織の中でアイデンティティーに苦しむ刑事を中心に、巻き起こる様々な人間模様。 私の様な昭和生まれの昭和好きの人には昭和の北国の情緒感に触れるのはたまらないけれど、 ストーリー展開的には話の焦点がアッチコッチしちゃって集中力が途切れました。 3回に分けて観ちゃいましたが、連ドラの様に問題なく楽しめました。 直子(いしださん)の泣き笑い敬礼も、すず子(烏丸さん)の実直さも印象に残りましたが、 桐子(倍賞さん)の回が一番好きだった。 桐子の健さんに対する甘え方がとっても魅力的。 特に舟歌がかかるシーンの二人の心情の揺れ動きはたまらんです。 が、劇中の年末歌謡番組で昭和歌謡が大音量過ぎた(おもわず一緒に歌ってしまった)のと これは当時の技術なので仕方ないのかもだが、血糊が朱色と火薬の煙でやや萎えた。 【movie海馬】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2016-05-17 01:38:05) |
35.どうにもまわりくどい。倉本氏脚本の映画は自分には合わないようだ。 【ProPace】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2015-11-08 20:59:14) |
34.《ネタバレ》 健さん、倍賞千恵子さん、いしだあゆみさんをぼんやりと眺めるにはいい映画でした。 昭和の風情に浸りたいときは。 結構人が死ぬシーンがでてきますが、あっけない感じが印象的でした。 【ろにまさ】さん [CS・衛星(邦画)] 5点(2015-08-30 07:38:59) |
33.《ネタバレ》 健さん追悼番組で再見。希望の無い重く悲しい物語。直子の過ちを許せず離婚。すずこを気にかけるが彼女の人生に関与して助けてやるわけでもなく、運命的な出逢いをする桐子とも宿命的に別れ、自分の仕事に疑問を感じ続けてるのに辞めることが出来ない。そんな物語だから、救いや癒しや希望は無い。だが心に重く響くものがある。 演者がいい。雪が降りしきる銭函駅での冒頭のシーンで、直子を演じるいしだあゆみが、まるで映画のクライマックスかと勘違いさせるような演技を見せる。桐子を演じる倍賞千恵子もいい。健さんが初めて居酒屋を訪れる時のワンシーンワンカットの演技が素晴らしい。完全に高倉健を喰っている。根津甚八は30秒くらいしか登場しないが、めちゃめちゃかっこいい。大滝秀次は相変わらず渋いし、宇崎竜童のチンピラ風情もいい味出している。 駅STATIONは、間違いなく名作の挌印が押されている映画だが、改めて観て違和感もあった。健さんが雪の中に渋く佇んでいる。健さんファンなら、実はもうそれだけで満足で、僕もほぼ満足なのだが、この映画には、謂わば高倉健的指向性とでも云うべき過剰な情緒があって、この雰囲気を味わうべしと云う暗黙の強制を感じてしまうのだ。これが映画の本質であってはならない。いしだあゆみや倍賞千恵子がいい演技をしてたと云ったが、それは情緒を醸していたからではなく、彼女らはこの物語の特定の設定に相応しい素晴らしい演技をしていたからだ。 【ヒロポン】さん [地上波(邦画)] 7点(2014-11-30 04:14:44) |
32.《ネタバレ》 昭和の香りがプンプンする、熱燗と演歌が似合うような映画。 マラソンの円谷選手の遺書には気遣いと責任感があふれている。 だからこそ傷つき、不器用な自分を追い込んでしまったのだろう。 その繊細さと責任感は英次ともだぶる。 ストーリーはあっちにいったりこっちにいったりで詰め込みすぎ。 もっと無駄な枝葉を省いて、健さんと倍賞千恵子の話にじっくり的を絞ってもよかった気がする。 【飛鳥】さん [ビデオ(邦画)] 3点(2014-04-26 22:12:44) |
31.直子の章-円谷幸吉の遺書「父上様、母上様、三日とろろ美味しうございました。…幸吉はもうすっかり疲れきって走れません」、すず子の章-吉松五郎の辞世の句「暗闇の向こうに見える灯火を 今駅の灯と信じつつ逝く」、桐子の章-テレビから流れる紅白歌合戦の八代亜紀の「舟唄」など、それぞれの章に印象的なシーン 【Q兵衛】さん [映画館(邦画)] 9点(2014-02-17 14:41:35) |
30.《ネタバレ》 お酒はぬるめの燗がいい?(うん、確かに ) 肴はあぶった イカでいい?(いんや、それはイカン 他にして ) 女は無口な ひとがいい?(でもさ、無愛想なのは 勘弁ネ ) 灯りはぼんやり 灯りゃいい~??(そうね、顔が見えないほうがよかったりって時ってあるもんね ) だからなに。 確か、三度ほど舟唄流れてきましたね。 オリンピックと刑事高倉、なんとも不思議なマッチング。 なんかいろんなことが起こりまくった異色作。 かあちゃん大事にしてくれね。 【3737】さん [CS・衛星(字幕)] 5点(2014-01-09 19:05:08) |
29.2013.12/28 鑑賞。健さん、いいね! 題名からは刑事ものとは思わなかった。北海道の雪を舞台に美しく、ドキュメント風に時代が映し出されていた。居酒屋の二人のシーンは好きだ。年末紅白歌合戦、八代亜紀「舟歌」のシーン秀逸。さすが倍賞の演技。追記 +1点。 【ご自由さん】さん [CS・衛星(邦画)] 8点(2013-12-28 22:01:47) |
28.健さんの魅力を前面に押しだした作りという点では、彼の他の主演作とほぼ同じ。 十年を超えるスパン、序盤から様々なエピソードをつなぎ合わせる構成で、主人公の人となりをこれでもかとじっくり描いています。 各エピソードごとに出演する豪華俳優陣たちも、しっかりと脇を固めており、健さんのキャラをひと際立たせていました。 ストーリー云々というよりも、やはり寡黙な男、健さんのキャラを観る映画。 渋い、渋すぎる。 【MAHITO】さん [DVD(邦画)] 5点(2013-10-14 04:11:18) |
27.何はともあれ、健さんが出ているだけで映画は締りがある。いしだあゆみもうつくしい。楽しめました。 【竜ヶ沢中段】さん [DVD(邦画)] 7点(2013-06-15 11:09:38) |