1.まぁ中身はあって無いような映画と言われれば、それは否定できないのですが、70年代という刺激的な時代だからこそ成し得た「体感映画」。ザ・フーのロック・オペラをイギリス映画界の鬼才ケン・ラッセルが映画化するということで、当時話題になった作品とのことだが、私は当時を生きていないのでよく分からない。でも、60年代後半から70年代にかけてのサイケデリックなムードや、ロックンロールに興味のある方は必見の作品と言えるだろう。今となっては偉大な存在になりすぎて、若年層に「彼はロック・ミュージシャンだった」と言っても信じてもらえないが、「キャプテン・ファンタスティック」でビルボード史上初めて初登場第1位を飾るなど正に神がかり的な活動を続けノリに乗っていたエルトン・ジョンが“ピンボールの魔術師”として出演しているほか、ハードロックの先駆者的存在であるクリームで活動し、今やブルース界の大物となったエリック・クラプトンが“モンロー教の教祖”として出演している。その他にも“麻薬の女王”としてティナ・ターナーが出演して、より退廃的なロックのムードを高揚する。全編ザ・フーの楽曲を主体にして物語を進めていくが、最終的にはメッセージ性の強い終わり方になっていて正しく芸術である。まだ感じていない人は、早めに感じておこう。もちろん万人受けする作品だとは思わないが。