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乱れる

[ミダレル]
1964年上映時間:98分
平均点:8.12 / 10(Review 42人) (点数分布表示)
公開開始日(1964-01-15)
ドラマラブストーリーモノクロ映画
新規登録(2004-10-09)【放浪紳士チャーリー】さん
タイトル情報更新(2020-11-12)【イニシャルK】さん
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監督成瀬巳喜男
キャスト高峰秀子(女優)森田礼子
加山雄三(男優)礼子の義弟・森田幸司
草笛光子(女優)礼子の義妹・森園久子
白川由美(女優)礼子の義妹・孝子
三益愛子(女優)礼子の義母・森田しず
中北千枝子(女優)賀谷の妻・道子
十朱久雄(男優)岡本薬局主人
藤木悠(男優)清水屋店員・野溝
北村和夫(男優)久子の夫・森園
浜美枝(女優)幸司の恋人
清水元(男優)警察署長
佐田豊(男優)村田呉服店店主
柳谷寛(男優)賀谷食糧品店々主
小川安三(男優)清水屋の店員
浦辺粂子(女優)温泉場の女将
西條康彦(男優)森田屋酒店の店員川俣
勝本圭一郎(男優)
中山豊(男優)
榊田敬二(男優)
吉頂寺晃(男優)
脚本松山善三
音楽斎藤一郎
撮影安本淳
製作藤本真澄
成瀬巳喜男
東宝
配給東宝
美術中古智
編集大井英史
録音下永尚(整音)
藤好昌生
斉藤禎一(録音助手)
照明石井長四郎
その他キヌタ・ラボラトリー(現像)
ネタバレは禁止していませんので
未見の方は注意願います!
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【クチコミ・感想】

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123
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42.《ネタバレ》 この評価平均点の高さは何? とちょっとビビリましたが、よくよく拝読し、ちょっとというか、かなり納得いたしました。数名不明ですが、ほぼ100%、男性レビュアーによる評価でした。なるほど、なるほど。これって、男心をそこまでワシ掴みにする映画なんですねえ。まあ、男だ女だとガタガタ言うのは好きじゃないが、この評価の高さは、どう考えても「男の理想とする女像」を高峰秀子に見たから、としか思えませぬ。たった半年だけをともにした亡き夫を18年経てもなお慕い、なおかつ、亡き夫の弟の愛の告白(?)に女として身悶えしながらも、貞節を貫く。この一途さと身悶え、これぞ、男心を捉えて離さぬ幻の女像。確かに、時代背景から言えば、このような女性は珍しくなかったかもしれませんが、一方では、復員したらかつての自分の嫁さんが弟の嫁さんになっていた、といった類の話は枚挙に遑がなく・・・。こんなに美しい女性が、かくも強く清らかに生きたのは、まさに映画そのもの。現実世界の女どもは、大して美しくもないのに、計算高くしたたかで・・・、ってのに辟易した世の殿方がググッと来るのもムリからぬ話。で、女の私はどう感じたか。故郷への列車の中、義弟の寝顔を見て、涙を目に一杯ためるその美しさには感動しました。・・・が! 途中下車して温泉宿まで行って、「堪忍して!」はないでしょうよ、ネエさん。ハイ、風情も何もない、身も蓋もない感想を抱きました。それがこの映画のミソであることは重々承知の上です。集う男性レビュアーの皆々様、ぶち壊しレビュー、および平均点下げ評価点、申し訳ございません。
すねこすりさん [DVD(邦画)] 6点(2008-04-15 14:29:50)(良:1票)(笑:1票)
41.《ネタバレ》 自分、成瀬監督の映画のタイトルってなんか品格があって大好きなんですよ。(後期の「女の座」とか「女の歴史」あたりは除く)この作品もこのストーリーで「乱れる」とは・・・卓越したセンスを感じます。確かに加山雄三の心は最後まで乱れまくってますもんねえ。今ならさしずめ「変○家族・兄貴の嫁さん」(←ありえないしかもパクリ)だろう。割と画面的には平穏無事に円満終結を迎える成瀬映画傑作群の中、義弟加山の死に衝撃を受けた高峰秀子のアップを捉えたまんま、まるでフィルムをわざとぷっつり寸断させたかのような印象のラストシーンは、他に例をみないかなりのインパクト。晩年サスペンスにも意欲をみせ、従来のタッチから方向転換しようとしていた成瀬監督の野心と気概がこのシーンだけからも充分に伝わってきます。
放浪紳士チャーリーさん [映画館(字幕)] 8点(2006-02-25 14:39:38)(良:2票)
40.■主要な舞台となるのが、雑貨屋奥の和室。襖に挟まれた二間続きで、通りに近い側はちゃぶ台が置かれ一家の食事の場となり、奥の側は高峰秀子の亡夫の遺影が飾られた高峰の寝室となっている。この二間を使った演出が素晴らしい。半分だけ開けられた襖、片方の部屋だけ点されている灯り、この二間を行き来する高峰と加山雄三。とりわけ加山が義姉への思慕を告白するシーンは絶品としかいいようがない。■さらにこの二間は、土間を挟んで台所、二階へ続く階段へとつながっており、この空間には灯りが点されていない。階段へと挙がる加山、あるいは通りを背景にした高峰の姿を逆光のシルエットで捉えることとなる。■と、セットについてしか私は言っていないのだけど、そんなの観れば分かるよ、って話だ。でも、そうとしか言えないっす。成瀬のこうした巧妙なセットの使い方と、それを心得た撮影やら照明やら演技者にただただ感服するのみ、ただただ頭がぐるぐるするだけっす。もちろん、後半、電車での加山と高峰の道行きは名シーン中の名シーン。DVDを買うのは国民の義務だな。
まぶぜたろうさん 10点(2005-02-08 00:34:28)(良:2票)
39.《ネタバレ》 ふーん。森家の面々の、なんとも、その顔いでたちの”濃いーこと!”三益お母様を筆頭に、加山も草笛も白川も皆かっちょ良すぎ。東京ならモデル事務所開けます。(おまけに彼女はボンドガールだし)そう、動物でいうとネコ系統ですね。べつに悪気はないんだろうけど、皆、責任感ナシ。勝手気まま。そっけない。。。。一方で、長い間、実質酒屋を女手ひとつで切り盛りする、まじめでしっかりもの、大地にきちんと足をつけた、未亡人の御嫁さん高峰秀子!!こちらはさしずめ、犬系統です。そう、健気な”柴犬ちゃん!!”
この作品のいいなあとおもったのは、やはり!終わり方!!なんじゃこりゃ!オニーアクマー!!!いきなり急転直下!サスペンスもまっ青な怒涛のラスト!ふつうなら、性格もいいし、とてもいいひと、だれがみても、すばらしい女性。なにも悪いことしてない。か弱くも健気な女性。幸せに暮らして欲しい!そんな女性を”これでもか、これでもか!!”と不幸のズンどこに突き落とす!!突き落とす!!がんばれ義姉さん!!負けるな”高峰秀子!!” ”ふんばれ!森田礼子!!”追加!そう、まじめでいいひとって、突っ込みにくいんだよね~。
男ザンパノさん [DVD(邦画)] 8点(2014-05-14 02:06:14)(良:1票)
38.昔の日本映画だから良い、という訳では決してないのだが、これは良い。
la_spagnaさん [DVD(邦画)] 8点(2013-09-21 00:25:11)(良:1票)
37.《ネタバレ》 堪忍せずに、最後の最後まで乱れてくれたらよかったのにー。
ケンジさん [DVD(邦画)] 10点(2011-03-16 08:16:31)(笑:1票)
36.乱れました。
Balrogさん [DVD(邦画)] 10点(2010-12-18 14:19:53)(笑:1票)
35.《ネタバレ》 主人公二人の会話はどの場面でも実に巧に描かれており、演出はそれを十分に引き立てて行われていました。コウジという人物は、一見だらしが無いように見えるが、実際は芯の通った気持ちの良い性格をしている。レイコとの複雑な関係を見ていても、彼は決して淫らな行為に走らないし、紳士的な態度を常に取っている。そこにはレイコに対しての真面目で真っ直ぐな彼の心を感じることが出来た。そんなコウジを観ている人間は好きにならずにはいられない。例えば、彼の面白くて具体的な性格の一面がわかりやすく、脚本上二日目の晩に出てくる。麻雀をして帰ってきたコウジはレイコにピシャリと「ご飯はいらない」と言っておきながら、気付くとガツガツと食べているところは本当に愛くるしい。また、終盤での列車の車中でコウジはここでも「寝ない」といっておきながら、ワンカット挟んだ次のカットではグッスリと眠っているといったように、コウジの性格は憎めないほど可愛らしく、好きになってしまう。また、そういったコウジの性格を18年間傍らで見つめていたレイコにとってはそれが全ての思い出を集約しているように見えたのでしょう。だからこそ、あそこでレイコは下車しようと言ったのでしょう。そんな二人の関係性は演出でも描かれていました。二人が会話する際、ほとんどどちらかが背を向けている形になっている。また、追いかければ逃げる。近付けば離れるという動きの演出も実に素晴らしかった。そしてそんな演出があるからこそ、二つの電話のシーンがより感動的なのではないでしょうか。顔と顔を見合わせていませんが、画面で見る限り、カットバックされており、まるでそこに二人がいて向かい合っているように見えました。コウジの不器用な性格とレイコの頑な優しさが見て取れます。酒の力を借りて、顔をあわせないことをいい事に素直な思いを告げるコウジ、変わらぬ優しさを持ち続けるレイコ。演出の細やかさが画面からヒシヒシと伝わってきます。そしてラストの高峰さんの表情。嵐の前の静けさを通過し、嵐が訪れ、呼吸を乱し、髪を乱して走るレイコ。いつも淡々とした美しさを保っていた彼女が乱れる。凄すごる映画だ!
ボビーさん [DVD(邦画)] 10点(2007-11-25 18:44:58)(良:1票)
34.この映画は「乱れる」内容の作品であることを正直にタイトルで告白している。加山雄三は「絶対言うまいと思ってた」と言うが、言わなきゃドラマにならない・・・ではなく、言わなくたって言葉や態度の節々に表れる。高峰秀子だって本心ではずっと前からそうと分かってた。あんなエピソードから、加山が清水に戻ったのは浜美枝のため、なんて類推する奴はいない訳で。ある意味、そういう発言を引き出す状況に追い込んだのだ無意識に。だって、女なんだもん。
伯抄さん [映画館(字幕)] 8点(2005-09-18 14:32:46)(良:1票)
33.過ごしている時間の速度が全然違うな、と思った。東北まで1日以上かかる電車に二人で揺られたから高峰秀子は途中の温泉街で下車する決断を下せたのだと思う。「はやて」ではこの映画は成り立たないのである。電車のシーンからラストまでの展開は本当に息を呑むシーンの連続で、最後のクローズアップは呼吸が止まる。それにしても加山雄三よかったなー。今まで「サライ」とか若大将的なイメージしかもってなかったのだけど。加山雄三が飯をいっぱい食うだけで楽しかった。そして「ぼかぁ義姉さんが好きだ!」と言わせるほどの高峰秀子のけなげな後家ぶりに胸が痛くなる。あのシーンの時だけ茶の間の雰囲気はガラリと変わり、そこから物語は一気に転調する。だがこの映画、それまではドタバタ劇のような語りが進行する。スーパーの宣伝カーをまるで死神の襲来のように見つめる商店の人々のまなざしには思わず笑ってしまう。彼らにしてみれば笑えない事態なんだけど、笑えない事を笑いにする事にかけて、成瀬監督のセンスはとにかく冴え渡る。喜劇とか悲劇とかいう枠組みを越えて、人間の滑稽さ・あわれさや戦後の家族のあり方を背景におきながら、映画的興奮を常に喚起させるその圧倒的な才能。この映画は成瀬の映画の中でも飛びぬけてお気に入りです。
Qfwfqさん [映画館(字幕)] 10点(2005-06-21 14:41:43)(良:1票)
32.《ネタバレ》 許されぬ恋と庶民を襲う当時の社会の激しい変化をうまくからめた名作。終わり方も良い。とにかく演技が下手な人がいないから驚く。今の邦画には考えられない事だ。あえて残念な点を挙げれば後半の列車旅の周辺に来た辺りから急に間延びし出してBGMも退屈なのがずっと続く感じ。あんな長くて一本調子なBGM当時は許されたのだろうか。不思議だ。
ほとはらさん [DVD(邦画)] 7点(2024-01-01 13:27:27)
31.あの高峰秀子さんが乱れるって意味でインパクトがあった作品でした。
Yoshiさん [DVD(邦画)] 6点(2023-12-16 00:53:08)
30.加山雄三が主演なので嫌な予感がしていたが、やはりつまらなかった。
成瀬巳喜男は好きな監督さんですが最後まで進まない展開に途中でイライラしました。
ラストも後味が悪い終わり方でした。高峰秀子に免じてプラス1点!
とれびやんさん [インターネット(邦画)] 5点(2020-05-20 22:24:55)
29.《ネタバレ》 あんな健気で女性っぽくて、しかも美人な義姉が昔から家にいるなんて。若大将が好きになるのも無理はないでしょう。私ならとっくに愛の告白してそうです(笑)
家族の義母や義妹達はやはり女、他人の姉さんにはどこか冷たい。このへんの人間描写が実に生々しく描かれている。まぁこうなるだろうなと。最後の旅館に2人で行ったのだから、これからはずっと2人で・・・と思ってたがまさかまさかの大どんでん返しでした。姉さんそれはちょっと酷いよ。とも思ったけど、これは私を含めて男の意見であって、女は心乱れると何考えてるのかよく解らない。これは今も昔も一緒ですね。若大将は思わず飛び降りてしまったのか事故なのか?かなり難解なラストでした。
SUPISUTAさん [DVD(邦画)] 9点(2019-09-08 22:08:25)
28.《ネタバレ》 加山雄三は若くてもやっぱり加山雄三だった!(いや若いからこそ加山雄三なのか)育ちの良さそうな底抜けに明るくゴーイングマイウェイを地で行く演技が印象的なだけにラストは意外性があってかなりショックだった。けんか別れしたあとの朝、温泉宿の2階から外を眺める場面で、「まさか」という展開が予感されドキドキしたが、考えてみれば成瀬巳喜男監督といえば女性映画、メロドラマで有名なんだからあり得べき展開といえば展開なんだよね。高峰秀子の未亡人が、過剰な表現を押し殺した抑制のきいた好演を見せており、現代とは少し違う美意識が垣間見られたような気がする。好み35/50、演出13/15、脚本13/15、演技9/10、技術7/10、合計77/100→8/10点
chachaboneさん [DVD(邦画)] 8点(2017-03-15 23:08:08)
27.《ネタバレ》 惜しい。実に惜しい。互いに引かれあいながら女の異常な潔癖症のために、なかなかぐさっ!といかない二人。「あたしだって女よ」なんて重大な告白した高峰秀子と温泉旅館の部屋に二人っきりになった時点でもう加山雄三は勝利を摑んだも同然だったのに!密着を期待しつつも狂人クラスの古い貞操観念が邪魔をして心の準備が充分できていない高峰が反射的に放った「堪忍して」の一言に、これまた反射的にむくれちゃったのが加山の敗因だ。あそこはあんなにすぐふて腐れちゃっちゃあいけない。眠狂四郎みたいな気分になって「一度味をしめたそなたの肌が男を求めていることはそなたがいちばんよく知っておろう」と余裕を持って切り返すべきところであった。そこまで達観できなければ植木等みたいに「お呼び出ない」とか言って誤魔化してちょっと間をおけばいい。そうするとスタンダール先生が「恋愛論」で仰るように彼女の中でエッチな妄想がどんどんふくれあがることだって大いに期待できる♥ とりあえず風呂に入って(これ重要)、とりあえず飯を食って酒でも飲んで、とりあえずふとんに入る。その間浴衣をはだけるとかしてちょいちょいそっち方面に意識を行かせるようにすれば、性交成功の確率は3000倍くらい上がったのに。ああいう無理して性欲を堰き止めてるっぽい女はセルフ寸止め状態だから、ひとたび一線を越えるとありえないくらいにひーひー「乱れる」ことも期待できたのに。和風旅館の小道具、浴衣の紐や座椅子や梁なんかもうま〜く使えばいいのに♥♥♥ ちなみにブチッと唐突に終わるタランティーノみたいなエンディングは文句なく素晴らしい!
皮マンさん [DVD(邦画)] 7点(2016-12-31 11:32:01)
26.《ネタバレ》 全体的に、面白みの少ないストーリー展開。小津や黒澤に見られるセリフの深さと映画としての表現力が足りない。後半、電車に乗った後、2つのストーリーが考えられる。一つは幾度となく訪れる葛藤の中で、姉が弟のために、見切りをつけ別れるものと。それと本編、姉さんが「次の駅で降りよう」と温泉街で泊まって女として生きるもの。
この映画は、温泉街で一緒に泊まることを選んだ姉に対し、弟は姉を慕うだけで女として愛することが出来ず、酒に逃げてミジメに死ぬって・・・つまらない。
cogitoさん [DVD(字幕)] 5点(2016-08-05 22:43:18)
25.《ネタバレ》 断ち切れぬ未練や、押し寄せる時代の流れを描いた良作だと思います。と鑑賞して頭で考えたのですが、心に響くほどの内容でもなかったかなというのが正直な感想です。
川本知佳さん [DVD(邦画)] 7点(2014-12-07 14:13:27)
24.筋は分かりやすい。古き良き日本人の良さと悪さがどちらもよく表現されていて、情緒もある。
しかし、近親的なタブー恋愛、義理の親戚との軋轢といった、割とドロッとした題材があまり自分の趣味ではなかった。
迷いなく義姉にアタックし続ける加山雄三にもあまり感情移入はできない。あんな嫁さん欲しいとは思うが。
ポン酢太郎さん [DVD(邦画)] 4点(2014-12-01 20:52:46)
23.《ネタバレ》 この映画は「君と別れて」を思い出す。あの映画の水窪澄子のような眼差し、表情をする高峰秀子。二人の男女の距離と目的地への距離を縮めながら進む列車、それを支え道となる橋。
特に終盤、列車で徐々に距離を縮めていくシークエンスはドキドキさせられる。列車は絶えず動き続けるし、止まる駅でも乗客の乗り降りで運動は続く。
最初は他の客がいて弟が立ち続け、次第に背中越しに、やがて向かい合う。姉の横で転寝中のオジサンにヤキモチめいた気持ちを覗かせるのが面白い。
物語は軽トラックがスーパーの宣伝を高らかにする場面から始まる。新しい時代を象徴するスーパーの波、戦後のバラックから店を守り過去の亡霊に魂を繋がれたかのような人間たち。特に義姉のヒロインを演じる高峰秀子は。
義弟の加山雄三も出前のソバを食べても帰れば姉の手料理を食べたくなる。本当に食べたいもの、欲しいものはそれなのだから。
この頃からパチンコや麻雀だけで生計たてちゃう奴がいるのね。それすら出来なくなった人間は家族を残して簡単に首をくくってしまう。
冒頭で何かを心配そうに見つめていた義姉は、そんな義弟が無事に帰って来るのを毎日待ち続けているのだ。ちょっとくたびれた表情も見せる義姉。
義弟はそんな彼女を尻目に毎晩遊んだり警察の世話になっている。
後の若大将も劇中では筋金入りのニートな馬鹿大将。そんな男が、いつしか愛する義姉のため自分なりに働き始める。義弟を動かすのは家族を想う愛だけでなく、元々血の繋がらない“異性”に対する愛も強い。義姉も弟としてでなく、いつしか異性の“男”として心を許すべきかと悩みはじめる。前の夫の面影が、そんな彼女に中々ふんぎりを付けさせてくれない。
わざわざ寺に呼んでおいて「明日」などと言って焦らす。それを言うためだけに待ちつ待たせての寺での会話。
あれだけ焦らしておいて二人きりの旅館では「ああやっぱり」的な。霧の中を走る列車から、あえて時間のかかるバスや宿での宿泊を選んでおいてだ。
でも、その理由は弟が姉の本名ではなく最後まで“姉さん”と呼び続けたからでもあるのだろう。もし弟が姉を名前で呼び、彼女を本当に“女”として受け入れていたのなら・・・そんな事も考えてしまう。
諦める心、最後の電話、失って初めて“愛していた”と思い知らされる後悔。女はようやく愛しはじめた男を探しに駆けていく。身も心も、髪も乱して。
すかあふえいすさん [DVD(邦画)] 9点(2014-10-11 01:52:11)
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【点数情報】

Review人数 42人
平均点数 8.12点
000.00%
100.00%
200.00%
300.00%
412.38%
524.76%
637.14%
7716.67%
81126.19%
9819.05%
101023.81%

【その他点数情報】

No名前平均Review数
1 邦題マッチング評価 9.50点 Review2人
2 ストーリー評価 8.75点 Review4人
3 鑑賞後の後味 8.50点 Review4人
4 音楽評価 8.50点 Review2人
5 感泣評価 8.00点 Review2人
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