34.《ネタバレ》 今思うと、前作「パッチギ!」は(井筒作品としては例外的と言えるほど)ウェルメイドな作品だった。だからこそ井筒作品に触れたことのなかった観客にも受け入れられた。それゆえ今回の作品に同様のものを(意識的・無意識的に)期待した観客の中には期待や予想を裏切られ、失望した人もいると思う。かく言う自分も最初に観た時は唖然とした。前作以上に映画に盛られたいわゆる社会的・思想的要素。露骨に、赤裸々に「差別」が語られる(余談だが、ここまで差別を正面から扱った邦画は、皆無とは言わないまでもそれほど多くはない。アメリカ映画では珍しくないのだが、邦画の枠で考えると突出して見えるのかもしれない)。そして、多くの要素―朝鮮人差別や戦争、芸能界、家族、孤独、絶望、そして「難病モノ(!)」―がこれでもかとばかりにブチ込まれていることもあり、前作と比較すると物語や整合性が破綻しているし、混乱しているとさえ言える(ネタバレになるが一例を挙げれば、結局難病の子供は死ぬ訳でもなく治る訳でもない。つまり何らかの分かり易い決着もなく、「投げられっぱなし」なのだ)。■井筒はなぜ、前作以上に予算も公開規模も増え、また観客の期待も上がった作品でこのような「暴投」をしたのか。たぶん、彼が本当に喧嘩を売っているのは石原慎太郎などではなく前作に“安住”する「観客」に対してなのだ。前述した様々な要素を「どやねん!」とばかりに無造作に、ぶっきらぼうに提示し、挑発する(まるで「怒劇」の森崎東のように)。インタビューで彼は「日本の歴史」やら「家族の絆」やらテーマめいたものを語っているが、本当に言いたかったことはそんな言葉で語れるものではない(言葉で語れるものを表現するなら、映画なんぞ撮る必要はない。「ゲルニカ」が単に「反戦」を訴えたいだけのものなら、ピカソは「戦争反対!」と描けば良かったのだ)。彼は「日本の歴史」「家族の絆」「差別の実態」といった言葉では表現できないもの(或いはそれら全てを含んだもの)、映画でしか表現し得ないものを「映画的」としか言いようがないやり方であぶり出し、さらけ出そうとした。この作品で「思想」や「メッセージ」はあくまで表層的なものでしかない。■この作品は「読む」映画ではなく「観る」映画。つまり本当の「映画」。誰が何と言おうと断然支持します。 【ぐるぐる】さん [映画館(邦画)] 10点(2007-05-24 16:42:13) (良:4票) |
33.《ネタバレ》 残念。何故こうなってしまったのか?と言うより何故こうしてしまったのか?前作は映画にとって必要と思われるであろう全ての要素が絶妙なバランスで詰め込まれた、エンターテイメントとしても奇跡的な傑作であった。そんな前作を超えることは至難の技、否ほぼ不可能、それは良くわかる。だから続編なんか撮って欲しくなかった、しかもこんな早いタイミングで。…でもちょっとは期待しましたよ、正直。もしかしたら、もしかする‥と。だが現実は残酷で、まるでヒットした映画をパクッて二流の監督が撮ったビデオストレートの作品のよう。前作にあった映画に対する熱さみたいなものが、単に差別に対する怒りとか理不尽さとか不幸とか、そんなものを押し付ける熱さに成り果ててしまったように感じる。同じ監督スタッフで撮ったとは思えない。観る前は役者が前作と総チエンジしてしまったことを残念に思っていたのだが、観終わった後、それが唯一の救いになるとは…。この作品のことは忘れるし内緒にしておくので、10年後ぐらいに前作の役者でもう一回がんばってくれんか?監督。芸能界の内幕もいらんし、難病もいらん。東京にも行かんでもいい。あのまま京都で暮らすキョンジャ=沢尻エリカと本当の「続・パッチギ」が観たい。 【ParaP】さん [映画館(邦画)] 3点(2007-07-29 02:08:16) (良:3票) |
32.《ネタバレ》 あえて0点。井筒は「群像劇」撮らせたら天下一品だと思う。前作はそれで秀作となったし、興行成績として一般評価も高かったと思う。きちんと主人公すえてドラマを創った作品で評価できるのは「二代目はクリスチャン」だけ。この作品は、周辺の人々の描き方が素晴らしい上にバイプレーヤーの使いかたが絶品だった。今回、もったいないよね。見終わったとき、李鳳宇Pのエピソードで基本ストーリー埋めちゃった感が強かったんだけど、加藤くんとの対談読むために本買ったら、やっぱ李鳳宇のストーリーだったってことで納得。シーンの終わり毎に「暗転」するのも興ざめだった。身内のエピソードをメインにしちゃだめ、日本の映画監督ってそういう人多いよ。他人の原作ふくらましたらうまいのに、自分たちで骨子作るとつまんないってことが。それから、監督は塩谷瞬大嫌いなんだろうけど、台詞かなんかで松山康介のことに触れなきゃ。前作観た人への礼儀でしょ? 【shintax】さん [映画館(邦画)] 0点(2007-05-31 21:10:28) (良:3票) |
31.映画に作家のメッセージを込めるのは当然とはいえ、あまりにも偏った歴史的なものの見方、表現に首を傾げざるを得ない。 【kainy】さん [映画館(字幕)] 1点(2007-06-05 09:00:15) (良:2票) |
30.一緒に見たオットとはま逆な感想となりました。彼は,わるくはないけど1作目のほうがシンプルでメリハリがありインパクトがあってよかったと言うのです。でも私は2のほうが好み。最初のほうで少しわざとらしさを感じたのですが(差別を扱った作品て、過剰ではないかとか細かいことが気になってしまうの)、むしろ気にせずにひたすら映画を「見る」ことだけに集中しようと思った結果、私にとっては、1より気に入りました。LOVE&PEACE というのはどうも気恥ずかしかったけど、戦争は嫌だ、愛こそ全てだ、というメッセージはいいじゃん!と思うよ。若い人より私みたいな中高年にこそオススメ。さらに言えば、清楚さで男心をグッとつかんだ1と比べ、背筋をすっと伸ばして自分の出自を語るまでに成長したヒロインのかっこよさから、男性よりむしろ女性にオススメします。キャストも1よりいい。でも泣かなかったですけどね。泣ける映画がいい映画、とは限りません。<追記:プロデューサー李鳳宇さんの著書『パッチギ!的』が6/5に刊行されました。「パッチギ!」の裏話はもちろん、「月はどっちに出ている」や「シュリ」公開の頃の話や彼が若い頃に書いた小説など、面白い話、感動話、満載です。「パッチギ!2」に10点をつけることは私はどうしてもできないけれど=もっとさらにいい映画に出来たのではないかという不満も若干あるので=この李さんの本には10点プラスを献上します。> 【おばちゃん】さん [映画館(邦画)] 9点(2007-05-23 20:54:24) (良:2票) |
29.《ネタバレ》 まあ、いろいろな意味で衝撃的な作品ではありました。「あーあ、井筒監督やっちゃったな・・・・・」という感じです。アングラ雑誌的なネタにお約束の暴力的な描写等々非常にエネルギッシュな作品でしたね。ただ、いろいろと伝えたい思いが熱すぎたのか暴走気味ではありましたが。 何というか、井筒監督は映画館の中で安穏と作品を眺めていた我々にまでも「パッチギ」をかましてきた感じですね。エンドロールに流れる曲は前作と同様「あのすばらしい愛をもう一度」ですが、まったく違って聞こえました。前作が10点満点としたら、今作品は、そのすべてを破壊し尽くすパワーに圧倒されるばかりで採点不能であるという意味であえて0点を差し上げたいですね。 【TM】さん [映画館(邦画)] 0点(2007-05-19 14:00:38) (良:2票) |
28.評価が低い人のほとんどが、理由に事実と違っている事をあげているけど、少しがっかりだ。これは、歴史教科書ではない。同じように、日本人が好きな司馬先生の小説に対し、まるで鬼の首をとったといわんばかりに、事実と違っている点を指摘する人がいる。たとえ、そうだとしても、司馬先生の小説としての価値は変わらない。司馬さんが作った龍馬像への批判的な意見に対する黒鉄さんの言葉を借りれば、「ストライク、ボールの判定に興味はない」ということだ。これは映画だ。傑作のよびごえ高い前作をしのぐ会心の出来だよ。差別や家族の難病に苦しめられながらも力強く生きていく一家を、そのルーツを絡めながら描いている。前作に比べ、主人公達が大人になった分、キレまくっていた若いパワーが落ちたのは確かだが、分別と我慢が身についた分、情が全面に出てきた気がする。 【もがみとくない】さん [DVD(邦画)] 10点(2010-06-07 15:17:00) (良:1票) |
27.《ネタバレ》 ここでは3世代にわたっての、とある「在日」一家の生きるーーというか、“生き抜く”姿が描かれている。祖父の世代は苛酷な戦火のなかを、泥と血にまみれながら。二・三世である父母とその子供たちは、貧困と差別のなかを。そして四世となる男の子は、不治の病に対して。彼らはそれぞれの逆境を、時にのろい、時に怒り、時に嘆き傷つきながら、それでも生き抜こうとするのだ。 もちろん、彼らをそういった状況に追い込み、追いつめたのが日本という国家であり、その国民であることを、映画は真正面から描くだろう。けれど映画のなかの一家は、そんなことを告発や断罪する前に、とにかく必死に生きる、懸命に生きる。その姿を前にする時、「日本人」たちの何と卑小でみじめなことだろう・・・! そこでは藤井隆扮する「良い日本人」ですら、どこまでもひ弱で無力な存在でしかない(もっとも、彼は彼なりにーー愛ゆえに?--「意地」を通すのだけれど)。たぶん、彼らは我々にこう言うだろう。差別するなり反省するなり勝手にやってろ! と。 前作『パッチギ!』では、そういった「生」のエネルギーのほとばしりを高校生たちの群像ドラマに託しつつ、一方でそれを「在日」という言葉(=観念)に収斂させてしまうことで実に「上質」な(ということは、「映画賞の取れる」ような!)作品を撮りあげた井筒監督ら作り手たち。だが今回は、「政治」だの「歴史」だのといった観念性をブッちぎり、映画としての体裁すらブッこわしてまでも、主人公とその家族の「生」を、それだけを映像におさめようとした。そしてそれは、見事に成功したといえるだろう。何故なら、前作とうって変わってのこの「低評価」こそがその証じゃないか! だが、これでいいのだ。映画が「生きるもの」たちの姿を、その輝きこそを映し撮るものだとするなら、これこそが正真正銘の「映画」そのものなのだから。 ・・・映画の最後、難病の男の子が、自転車にはじめて乗ることに成功する。彼は助からないかもしれない。しかし、それでもやっぱり生き抜こうとしている。その姿にふたたび家族がひとつになる。 何て美しい光景だろう。 【やましんの巻】さん [映画館(邦画)] 10点(2009-03-31 17:30:36) (良:1票) |
【Yoshi】さん [DVD(邦画)] 2点(2008-03-21 00:08:08) (笑:1票) |
25.《ネタバレ》 難病は結局どうなったの?家族愛がテーマなの?人種差別がテーマなの?両方?なら、別々にもう少しちゃんとやった方がいいんじゃ? 家族愛と人種差別が、ただのお涙頂戴と社会派映画の為の要素に成り下がっている。 例えば「人種差別はいけません」「家族を大事にしましょう」って、教科書とか道徳の授業で言われたけど、この映画はそれ以上の何かが全くない。悪者と良い者しかでてこない。それならヒーロー映画の方がまだ辻褄があっている。というか、(悲劇の)ヒーロー映画の一歩手前になってしまっていることに、監督は気づいていないのでは?しかもこの映画の「家族愛」「難病」は、なぜいるのか分からない視聴率稼ぎの為の役者の様。というか、まず「難病」がなければ家族愛は描けなかったのか?難病要素程ではないが、藤井隆の孤児設定も余計。全体的に、受けが良い要素をとりあえず全部入れておいた感が否めない。 もちろん一作目のパッチギを作れた製作チームだから、ちゃんと「泣き所」はある。でも、残念ながらこの監督の人間的底の浅さがちらついている。「弱いものいじめはやめよう」と教室に標語を掲げる学校の先生のように。 |
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24.《ネタバレ》 在日+岸和田愚連隊+このごろの戦争映画への反発+難病もの......、で、全体として深みのないうすっぺらな映画ができました。もうちょっとまとめようがなかったものか。残念ながら、悪いことにこの監督の思考の浅さが出てしまったように思う。 【goro】さん [DVD(邦画)] 3点(2008-02-29 04:07:32) (良:1票) |
23.いいもんとわるもんしか出てこない。こんな薄っぺらな人物の描き方今時めずらしい。客観的な意見を言う人はいなかったんだろうか。 【とと】さん [CS・衛星(邦画)] 1点(2008-02-24 06:49:41) (良:1票) |
22.不評を聞いていたので、あまり期待していなかったのですが、..その通りでした..残念!..前作の足下にも及ばない..井筒監督どうしちゃったの?..こんなコテコテのB級映画にしちゃって(悲しい)..過去を振り返っての戦闘シーン..少しお金をかけれるようになったのは分かるけど、ショボ過ぎる..クライマックスも説得力に欠け..作品全体がバラバラ、伝えたい事がぼやけてる.. 繰り返すけど、前作の 素朴さ、主張、演出、脚本..ほんと一本筋が通ってて!良かった~.. 続編とは思えないほどのお粗末さに、ガッカリ... 【コナンが一番】さん [DVD(邦画)] 3点(2007-10-15 16:48:34) (良:1票) |
21.(ちょい長め) 前作の説明的で不自然な脚本に比べると本作は大分こなれた印象で(多分「ゴッドファーザーPARTⅡ」を参考にしてる)、クライマックスに多少の無理は感じられるものの、直ぐさま始まる乱闘の勢いで最後まで通してしまう(お約束の乱闘シーンは最初と最後にしか出てこないので、ヴァイオレンスの苦手な人も今回は安心?)。時代の雰囲気も良く再現されてるし、特に回想の戦場シーンは、それだけで一本の映画が出来てしまいそうな程クォリティが高い(評判は悪い様ですが…)。「俺は俺、私は私」的な結論に逃げなかったのにも好感が持てます。従って、私としては概してこっちの方が楽しめました。ところで、「この時期の在日を描くなら、朝鮮総連の暗躍や拉致の実情、帰国事業の犠牲なった人達の問題等も取り上げるべきだ」等と言うのは、「ALWAYS/三丁目の夕日」に対して「当時を一面的にしか描いていない綺麗事だ」と言うのと同様に恐ろしく野暮なことなので、私は言わない。劇中映画で昨今の日本製戦争映画(含む「硫黄島からの手紙」)に対する井筒和幸なりの明確な返答を表明してることも、最近の「作家」と呼ばれる方達のぬるま湯的表現活動からすれば、中々大したものだとも思う。しかし、その認識が精々「太平洋のサムライ」程度の浅さであるならば、この映画自体もその程度の浅さにしか見えてこない。今回はこの点と、作劇で「難病」を取り入れた安直さが少し残念に思いました、5点献上。 【sayzin】さん [試写会(邦画)] 5点(2007-05-22 22:19:18) (良:1票) |
20.前作は、青春映画として楽しめたけど、本作はダメだわ・・・ 続編なら最低限主要キャストは入れ替えちゃダメだろう。 【あきぴー@武蔵国】さん [DVD(邦画)] 3点(2015-01-02 17:30:09) |
19.《ネタバレ》 フィクションだからある程度、作り話があってもいいけどやりすぎ感がある。 妹の為に犯罪を犯す兄を肯定的にするのはどうか?密輸や窃盗、殺人未遂。 前作は差別を乗り越えて、両民族とも仲よくし、さわやかな青春映画ですが、これは日本人がいかに悪いかだけを取り上げている。見終わった後、前作とは違いさわやかさはなくストレスしかなかった。 【NAONAO】さん [DVD(邦画)] 0点(2013-10-17 13:38:03) |
18.主役アンソンとキョンジャの兄妹などキャストが変わってしまったからだろう、前作と比べ役者が見劣りするし魅力を感じない。パワー不足だし、それどころか同じ監督が作ったようにさえ見えない。在日朝鮮人(韓国人)の問題を扱っているのだから、もっと鋭く描いてほしかった。 【ESPERANZA】さん [DVD(邦画)] 4点(2012-05-18 16:11:29) |
【シトロエン】さん [DVD(邦画)] 2点(2010-01-31 17:33:13) |
16.僕にはこの映画が最後までよくわかりませんでした。 【もとや】さん [DVD(邦画)] 3点(2009-11-14 14:23:47) |
15.映画の最後にベトナム戦争の事が出てきましたが、大戦時日本人が朝鮮の人に対して行った事と、 韓国人がベトナム人に対してした事・・・ベトナム人の気持ち・・ その辺にまで踏み込んでいたらもっと深くなったのにと、 韓国人参戦のベトナム戦争が対岸の火事扱いでは手落ちですね、 被害者意識だけでは進歩が無い映画だと思います、 基本的に北の話だから良いのかな?・・・ |