104.《ネタバレ》 原作未読。1ページも読んだことはない。
浦沢直樹原作のため、公開前から気になっていたが、鑑賞がかなり遅くなってしまった。その理由は本作が堤幸彦監督作品だからである。彼には才能があると信じていた時期があった・・・。しかし、最近の作品は中途半端でどうしようもない駄作を連発し、まるでやる気を感じられない。
1%の期待もかけずに駄作を見に行くという覚悟で本作に臨んだ。
まったく期待していなかったためか、中盤までは意外と面白いと感じた。
「へぇ~、堤もマトモなものを作れるんだな」と安心していたが、コンビニが全焼した辺りから、徐々におかしくなっていき、最後には「堤、映画作るのやめやがった!」というほと酷い展開になっていった。
「こんなのロックじゃねえ!」というセリフがあったが、まさに「こんなの映画じゃねえ!」と言いたくなる。
中盤まで比較的丁寧に作っていたのに、なぜ肝心の終盤で手を抜いたのかが理解できない。
最後の展開は映画ではなくて、単にストーリーを展開させただけのもの。
あらすじを切り取って、紹介しているようなものであり、“長い予告編”を見させられた想いだ。
キャラクターの心情など何一つも伝わってこない。
唐沢以外のキャラクターはほとんど人形でもいいと思えるほど、死んでいる。
原作の雰囲気が全く分からないので、妥当かどうか分からないが、“友情”辺りのキーワードを基にストーリーを再構築してもよかったのではないか。
長い原作をそのまま描こうとするのは、映画作りとしては素人の発想。
堤も中盤まではその辺りは分かっていたと思うが、最後には放り出した。
単なるあらすじの紹介ならば、映画など見ずにマンガを読んだほうがいい。
本物のプロならば、いくら長い原作であっても、上手く調理して一本の映画として満足できるものに仕上げられるはずだ。
作品に対する情熱がやはり全く感じられず、これではプロフェッショナルの仕事とはいえない。
「原作より映画の方が面白い」と言われてこそ、プロというものだろう(原作は全く知らないけど)。
ただ、ストーリー自体は面白いと思う。
続きのストーリーを知りたいとも思う。
しかし、ストーリーが面白いからといって、「映画が面白い」「映画の質が高い」とは決して言えない。
感情が揺り動かされないと高い評価はできない。