1.《ネタバレ》 結論から先に述べると物語としては面白くはない。だが視覚的に観る価値はある。バレエ映画としては恐らく世界最高峰である。内容は簡単に言うと、踊ることを禁止された国で、やんちゃな姫が踊りまくって、王様がケシカラン!と怒って騒動が起こるというもの。そこに王様である父親の悩ましい過去や、そして母親である王女の痛々しい過去がからみあって、さらに弟の皇太子が、姉のオーロラ姫に恋心を持っていたりする。これは複雑なヒューマンドラマか??と思った矢先、いきなり、姫が「わたし・・・妖精が見えるワ!」と言い出した後は、問答無用でファンタジー映画へと突入していく。思いのほか、つかみきれない映画であった。あげくのはてにオーロラ姫は、空を飛んでしまう。雲の上まで行ってしまう。そこは天国だろうか?あまり深く考えると損をする気がする・・。そこで恋する貧乏画家と踊る。三島由紀夫賞を受賞した舞城王太郎の阿修羅ガールみたいな許しがたい展開が次々と起こる。しかしそれを差し引いても、雲の上での踊りは圧巻であった。貧乏画家は一流の踊り手だった。製作者が、徹底して踊り重視の姿勢を貫く余り、物語性をとことん排除している。そのせいか意味不明な点はいくつかある。しかしやはり視覚的には満足はできる。残業時間が3時間以上越えてクタクタになって帰途につくサラリーマンよ。君らにお勧めできる癒し系の掘り出し物映画だ。1シーン、1シーンが、フェルメールの画のように光沢を放っている。美しさ重視だと理解してご覧ください。