24.《ネタバレ》 映画化に少し今更感があるが、90年代末期に話題になった妹尾河童の自伝的小説が原作。戦時中のカトリックの家族が描かれた映画ということで「この子を残して」のような堅苦しくてとっつきにくい映画かと思っていたが、そうでもなくすんなりと見れる無難な反戦映画という印象。戦争という激動の時代を一人の少年の目を通して分かりやすく描いており、降旗康男監督の演出もそつなく丁寧。肇の父(水谷豊)がやたら先見性のある人物に描かれていてやや不自然な気もするが、ひょっとしたら当時本当にこういう人がいてもおかしくはないと思える程度の描写で、お前は未来人かとツッコミを入れるほどの違和感は感じなかった。鬼教官だった男が戦後になって態度が豹変し、質屋になるというのも終戦直後のあの時代ならば普通のことだったのだろうと思わされる。ただ、演じているのがお笑い芸人の原田泰造なのでどうしてもコントっぽく見えてしまい、つい笑いそうになってしまった。この役にお笑い芸人は使わないほうが良かったのではないか。その他、戦争が終わったことで突然世の中が変わってしまったことに対する肇の怒りももう少し掘り下げて描くべきだったと思う。「火垂るの墓」を思い出すような神戸空襲のシーンで父親のミシンを運び出そうとするシーンは感動させようというのが見え見えで少々冷めてしまった。でも、その後の焼け野原と化した町に立った父親の無常感はよく表現できていたと思う。最近では世間的には「相棒」の杉下右京のイメージが強い水谷豊なのだが、あまり「相棒」を見たことがないせいか、ハマっている云々は別にして特定の先入観なくこの父親役を見れたのも良かった。リアル夫婦の夫婦役共演もさほど変な感じはない。ただ、映画として全体的に考えてみるとドラマとしての物足りなさや中途半端さを感じてしまうのも事実で、もう少し深みがほしかったところか。しかし、子供向けの教材戦争映画としてはこれくらいがちょうどいいのかもしれない。最後に、あまり好きな監督というわけではないのだが、本作が高倉健という相棒を失った降旗監督の遺作にならないことを願う。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 5点(2015-08-20 23:18:34) (良:1票) |
23.《ネタバレ》 戦中のキリスト者というものがどうだったのか?をよく知らないので、この親達の言動がどこまで真実なのかが疑問もあるが、子供目線の親の美化と思えば、そんなには気にならないかな。基本的に少年小説なので、大人が見てもあまり面白くはなく、終戦まではよくある話の展開なのだが、終戦後の大人達への様変わりに対する少年の怒りのようなものは中々見応えがあったが、オマケみたいになってしまったのは残念。こちらをメインに描いた方がよかったのでは? 【東京50km圏道路地図】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2014-08-19 10:42:03) (良:1票) |
22.《ネタバレ》 この手の作品にレビューするのが基本苦手です。お涙頂戴ではないのがいいですね。運よく家族全員生き残れたんだけど、もし家族が居なくなっていたらHはどうなっていたんだろう?と気にかかります。数年後とかのエピローグが欲しいかも?あとはご想像にお任せしますなのですが、アホなので想像できないw リアル両親が終戦の時点で2、3才なので、そう遠くはない過去であることをもっと認識しないといけないのかなと思いました。中国の歴史観というと叩かれそうですが、日本人とは大きなギャップがあります、正しいとか間違っているではなく、現実がそうなのであるという事ですね、まああれです中国人の嫁を貰ったんでそういう事を考えたりしてます。 【ないとれいん】さん [インターネット(邦画)] 6点(2018-11-20 16:46:53) |
21.2014.09/17 鑑賞。故郷の神戸が舞台で親しみを感じる。 【ご自由さん】さん [CS・衛星(邦画)] 7点(2017-07-28 23:26:39) |
20.少年H、何年経っても めっちゃ少年のままやった。 【ケンジ】さん [ブルーレイ(邦画)] 5点(2017-06-04 01:47:50) |
19.《ネタバレ》 冒頭、平和な時代にて楽しく絵を描く主人公の姿から始まって、戦中では鬼教官に「絵や音楽は戦争の訳には立たん」と言わせてしまう構成が、実に意地悪で、実に効果的。 「御国の為に」なんて言っていた近所の大人連中が、戦後は進駐軍に英語で話しかけて媚を売る姿なんかも、非常に嫌らしく描いているのですよね。 こういった「子供目線による悪役としての大人」を表現するのが、とても上手かったように思えます。 その一方で、主人公に好意的な大人達には、小栗旬や佐々木蔵之介といった「良い奴」イメージの強い有名所を起用しているのだから、バランスも良く、観ていて安心感がありました。 主人公の父親が極めて聡明で、寛大で、日本の情勢に対する先見の明まで持ち合わせているのは、ちょっとやり過ぎな気もしましたが、幼い主人公を導く役目、そして当時の情勢に疎い観客に対する「解説役」も兼ねているのだと思えば、何とか納得出来る範疇ですね。 演じているのが水谷豊というのも、非常にポイントが高い。 その知的な物言い、柔らかな物腰が、ハイスペックなキャラクターに説得力を与えていたように思えます。 特に印象深いのが、教室の机に「スパイ」と書かれた事を怒る息子に対し、冷静に、筋道を立てて説得してみせる場面ですね。 「アンタまで、やな人間になってしまうで」という言葉からは、面倒を避けようとする大人の配慮などではなく、本当に我が子を思いやり「息子には良い人間であって欲しい」と願っているからこその優しさが窺えて、胸に迫るものがありました。 そんな頼れる父との別れ、家族からの自立をクライマックスに配した気持ちは分かるのですが、結果的に「さぁ、これから主人公はどうやって生きて、成長していくのか?」という矢先に、映画が唐突に終わってしまった印象も受けてしまい、そこは残念。 恐らくは、演じている子役が幼過ぎて、社会人として自活している姿を濃密には描けなかったものと推測しますが、あそこはもうちょっと描写が欲しかったところです。 家族の中から死者が出ていなかったせいか、あまり陰鬱な展開にはならず、日本の復興を予期させる前向きなハッピーエンドであった事は、とても好み。 戦争が齎す不幸だけでなく、そこから立ち上がる人間の逞しさ、力強い美しさの片鱗を感じさせてもらいました。 【ゆき】さん [DVD(邦画)] 6点(2016-08-17 06:54:46) |
18.《ネタバレ》 映画化すると聞いたときは、あまりにも有名な原作なので「えっ、今さら?」と思ったものだけど、原作の良い部分と悪い部分をしっかり汲み取って再構成しているので、見やすく仕上がっていた。水谷豊の父親役は見事にハマっており、前半のユーモアさが逆に後半の戦争描写の悲しさや虚しさを強調する良いアクセントになっている。公開当時あまり褒めている人がいなかったけど、神戸空襲のシーンは劇場で見たらかなり迫力があったし、特に焼夷弾の描写はしっかり描きこまれていたように感じた。また空襲後の廃墟になった町並みにも「あー、これを見たらあの常識人のお父さんもおかしくなっちゃうだろうな」という説得力があった。 【ドラりん】さん [映画館(邦画)] 7点(2015-08-21 21:03:26) |
17.《ネタバレ》 原作は瀬能河童さんの少年時代の回顧録で私は未読ですが、終戦の日に笑顔で「戦争が終わって本当に良かった。」と中学生の瀬能少年が言ったり、外国人のお客さんが居たとはいえ彼の父親が妙に時勢を達観していたりと、戦中・戦後を経験していない自分でも少々疑問に感じてしまいます。 毛の生えた大人が真剣に語ってはいけない様な作品に思えてしまいます。 大人である私ですが、精神年齢や前頭葉の中身の関係で子供向けの映画やゲーム等もビザ無しで受け入れ可能ですが、本作を見終わった時には残念ながら感想という様なものはほぼ無く、レビューを書く為に思い返すと体の内側が痒くなるような居心地の悪さを感じてしまいました。 無理矢理に結論付けるならば、主人公ほどの少年少女が見てもいいし、見なくてもいいし、どんな感想を持っても良いと思いますが、そこには余り長い間留まっては居ないほうが良いのかなぁ…、なんて勝手に思ってしまいました。 【しってるねこのち】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2015-05-01 20:13:36) |
16.《ネタバレ》 お父さんが、クリスチャンで外国人と付き合いがあるためか、随分と進歩的な人だが巧く立ち回る事もできる人。だが、そういう人でも或いはそういう人だからなのか、次第に軍国主義的な世間に飲み込まれていく様や、敬虔な信者だったお母さんもいつの間にか「銃後の守り!」などと叫ぶようになる様が、世間の趨勢の恐ろしさを感じさせる。 一方、鬼の教官で中学生を本気で殴りつけた男が、終戦後にそんな事忘れてしまったように「質屋をやる」などとヘラヘラしているのを見ると、人というのは、いや、大人というのはいい加減に生きてるものだと思わされる。 しかし考えてみると多くの他の家族は、お父さんを兵隊にも取られず誰も死ななかったこの家族より、えらく酷い目にあっているわけで、戦後の生きるための変わり身など、仕方のない事なのかもしれない。 木製部分が焼けただけで商売道具が稼働できた仕立屋と、戦災住宅に入れた家族など幸せの部類に入るような気もしてくる。 但し、今更「戦争は悲惨です。争いはやめましょう」的な物語を見せられても、もうお腹いっぱい(自分的にはおよそ40年分)である。この少年が、これだけの社会の転換で何にどの様に希望を見出して、自立の道を選んだのか?という部分について、ちょっと判りにくさを感じてしまうのだ。 例えば、この話を見ると思い出すのだが「瀬戸内少年野球団」の少年少女達のような、熱中する対象・恋い慕う気持ちによる生きる希望のようなものを、感じられたら良かったのかも知れない。 ところで、ここでもはやり「動物と子供には勝てない」法則にやられてしまった。疎開に行く前の「晩餐」の時と「戦災住宅」での白米を巡る諍いの時の妹の泣きには、妹の兄としては胸を裂く。 【Tolbie】さん [DVD(邦画)] 7点(2014-10-26 23:44:03) |
15.《ネタバレ》 うーん、原作未読だし個人の実録なのだろうから悪くは言いたく無いけれど、今回の映画化は『淡々と』という印象。まぁ現実的には劇的に見せなければ何事も『淡々と』かな、、、ドキュメンタリーではなくドラマ作品なのであれば多少の抑揚は許されると思うのだけれど、、、盛り上がりにかけたなぁ。でも小学校や中学校で見せる映画としては優秀なのかもね。約15年ほど前のテレビドラマ版の方が印象深いな。ただしそれはオトコ姉ちゃんに焦点当てた脚本だったけれど、オトコ姉ちゃん役の窪塚洋介さんの演技も素晴らしかったなぁ(今作では早乙女太一さんが好演)。脚本って大事だね。 【movie海馬】さん [地上波(邦画)] 5点(2014-08-21 23:47:36) |
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14.面白くはないけど、見るのが苦痛というほどの嫌悪感もなく、ほぼ何も残らない無害な作品でした。 たぶんこの父親は21世紀からタイムマシンでやってきたんだろうなってくらい先見性のある思想には感服。 新聞報道が嘘ということも見抜いてるし、日本が負けることも知ってたんだろうな。 でも、いい大人がそんな正論を語っても説教臭くなるだけなので、少年Hを洗脳して代わりに正論を吐かせるという構成は良かった。 あと、戦争が終わった途端に性格も思想も言葉遣いも豹変してしまった泰造のコントは笑えた。 悲惨な戦争の現実を前面に押し出して泣かせようという魂胆が見え見えの戦争映画には食傷気味だったけど、ここまで心に響かない戦争映画も如何なものかと。 【もとや】さん [地上波(邦画)] 5点(2014-08-18 17:08:20) |
13.《ネタバレ》 太平洋戦争が始まるまでの普通の日常を描いたところはまあまあ良かった。 しかし、戦争開始以降の凡庸さはちょっと残念。しかも最後も中途半端な終わり方。あれが将来の希望につながるような、そういった前向きな雰囲気が全然感じられない。 【simple】さん [地上波(邦画)] 3点(2014-08-17 23:24:36) |
12.《ネタバレ》 実際の戦争について知らないので、なんだかんだ言える立場ではないんですが、爆撃が実際に起こるまでのジワジワと音もなく少しずつ日々近づいてくる危険な現実の、なんとも言えない恐ろしさを感じることができました。「ここまで来るわけないやろ」みたいに言ってた晴天の場面が妙に印象に残ってます。絵葉書見せた友達の気持ちを推し量る父親の弁も印象的でした。少年Hがもし自殺してたら、母親はどう思ったんだろうなとも思いました。子供をあんな気持ちに追い込むまで他人に善意を施すことが本当に善い行いと言えるのか疑問でした。あの辺りはもう少し母とHの葛藤を突っ込んで描くべきだったような気もします。母がタダのお花畑ジコチューにしか見えなくてそこが嫌でした。戦争が終わると教官らが別人になってるバカバカしい状況の寒々した描きも印象的でした。これまでに観た戦争関連映画にはない感覚を味わえました。 僕は正直言って水谷豊の演技って不自然すぎて苦手だったんですが、この映画での演技は変な感じがなくて観やすかったです。少年も自然でした。 【だみお】さん [DVD(邦画)] 6点(2014-07-12 20:29:28) |
11.《ネタバレ》 全体的に中途半端で印象が薄く、これといったコメントを書きづらいので、思いついたことを箇条書きで。 ・少年Hの妹役の子の演技が素晴らしいと思いました。疎開するときの別れのシーンの表情は立派です。 ・それに比べて、少年H役は演技がいまいちでした、というか大根。 ・伊藤蘭さんは、イメージを崩さずにうまく年をとりましたね。とても綺麗です。 ・少年Hよ、もう少し空気を読め。 ・原作未読です。原作はとても評判になったようですが、先にこの映画を観てしまったので、原作に手を伸ばそうとはなかなか思いません。 ・真面目に作られた映画であり、好感はもてるのですが・・・残念。 【la_spagna】さん [DVD(邦画)] 5点(2014-03-15 11:30:53) |
10.う~ん、中盤までは、すごく良かったです(10点満点)..空襲以降の展開が、ガク って、面白くなくなってしまいます..物語として尻窄み状態..共感できる部分がまるでない..作者が何を伝えたかったのか、分からない..とても残念... 【コナンが一番】さん [DVD(邦画)] 5点(2014-03-08 13:47:27) |
9.《ネタバレ》 戦争ほど「人間」を浮き彫りにするものはないでしょう。一番印象に残ったのは、飢えている人に自分の食べ物を与えるかどうか。少年は言う、「一度味をしめたらまた貰えると思うで」と。たしかにそれはいえる。私ならどうするだろうか?自分の空腹を我慢してまでも、他人に施しを与えられるだろうか?綺麗事だけではすまされない。生きてはいけない。理性と本能が天秤にかけられる。それほど戦争は残酷で正直だ。しかしこの映画、そこまで残酷さは伝わってこなかった。少年が理不尽に暴力を振るわられるシーンも、痛々しさを感じない。淡々としている。まるで児童文学だ。そう、児童文学戦争映画・・・新ジャンルの誕生だ。PS:原田泰造に鬼教官は似合わない。 |
8.可もなく不可もなく。道徳的な映画。見て損だとは思わないが、印象薄い。 【竜ヶ沢中段】さん [DVD(邦画)] 6点(2014-02-06 23:32:22) |
7.空襲で焼け出されるシーンはあっても戦闘そのものはなく、それでいて戦時中の日本の様子が手に取るようにわかる良い映画だと思う。戦争一色に染まった時代には、今の平和な時代では考えられような非道なことが数多く行われていた。その一端を知る上でもお勧めの映画だと思う。ただ戦争開始前の肇君好子ちゃんは良いが、5年経った戦後まで同一キャストで引っ張ると幼すぎて年の経過が感じられないのが残念。 【ESPERANZA】さん [映画館(邦画)] 8点(2013-09-17 16:51:23) |
6.原作にあったような明らかな事実誤認などは映画ではなくなっており、父親も日常的に外国人と接していれば、このような考えになるのも理解できる範囲です。戦争の狂気は抑え気味に描かれているようにも感じました。妹尾少年は殴られて気の毒でした。 【東京ロッキー】さん [映画館(邦画)] 6点(2013-09-11 15:39:25) |
5.《ネタバレ》 約8ヶ月ぶり2度目観賞。妹尾河童の実体験に基づいた戦争ドラマ。冷静にこの戦争を見つめる洋服仕立屋の父。その大きな背中を見て真っ直ぐに生きる少年H。神戸大空襲によって焼かれる我が地元、長田。そして漂う無力感。心に染みるのは、脱力する父へ茶碗をぶん投げたHに妹が一喝、「お兄ちゃんなんか死んでしまえぃ!」。戦争の生む虚しさがストレートに伝わってきました。日本人なら誰もが感じ入る傑作。 【獅子-平常心】さん [映画館(邦画)] 8点(2013-09-08 00:49:26) |