5.《ネタバレ》 これはね、マンガやアニメだからこそ成立するネタ。実写でやっちゃったら「何様?」ってコトになっちゃう。
この映画ではアニメ=オタク=コミュ障=ひきこもり予備軍みたいな描き方(実際セリフにもしてる)で、ヒロインがそれを差別しない事で一見肯定的に見えなくもないけれど、実際にはそこからの脱却、卒業こそが唯一の成長ってハナシ。
ここではアニメは自己否定を引き起こす内的要因のメタファーみたいなモノ。ひたすらリアルに対するネガティブ発言を繰り返すアニメキャラ「えぞみち」に反映されていて。
アニメにはリアルを物理的に変化させる力は無い、それはその通りだけれど、実写映画もまた単なる二次元で、アニメと同一のフィールド上に存在するものなワケ。役を演じる人々はリアルに存在していても、そこに映るのは光と影と音の集合体、実体の無い幻、アニメと一緒。ついでに3D映画は2つの平面を映写してるだけの、ただの目の錯覚。アニメ同様、リアルを物理的に変化させる力は無いわ。
だからこの物語をマンガやアニメで描く分には自虐的、内省的に成立するけれども、実写でやると上から目線の、何らかの優位性を主張している状態になっちゃうワケよね。なんて思い上がりっぷりよ?
もっとも、リアルにはありえないような人物像や演技、後半の陳腐な展開は「映画」の限界っぷりを自虐的に描いてるのかもしれないわね。まあ、こんな程度のモンに「映画」を象徴されちゃたまったモンじゃないけど。
英勉って人、『トリガール!』でもオタクをネタにして嗤いつつその後のフォローをしなかったけれど、結局そういう人なんでしょうね。そっち方面でばっかり商売してるクセにね。
でもカメラと照明は丁寧。いい仕事。人工の光の効果的な使い方や、自然光でしっかり作られたコントラスト、レンズを使い分けた凝った画作り。もったいない。
中条あやみも美しく映えていて。でももったいない。
まー、見ていてストレスいっぱいの、色々もったいない映画だったわ。