59.とにかく三船に驚いた。、、、、美しい、、、、、、、、、。この三船を見て、黒澤が、羅生門や七人の侍で何を描きたかったのかに合点がいった気がした。(歌舞伎の所作などに染まっていない、無垢な三船を時代劇で使う、という囚われない斬新さ)、、、、、、それと黒澤のリアリズムのありかが、少しわかった気がした。、、、、、口で理想的な生を語ることは容易だが、実際にそれを送ることは難しい。様々に現実との格闘を必要とする。つまり理想は、現実との格闘を経て鍛えられてゆく。、、、、だから、黒澤は、理想に対して、これでもか、これでもかという程に現実(リアルなもの)を対比させてゆく。、、、、この映画では、久我美子が純粋な理想を象徴しているだけで、あとは、大なり小なり、理想と現実の間を格闘している。志村喬は、医術に殉じるのではなく、酔いどれるという現実を抱え、三船は、病を治し、足を洗うという理想には全く届かない。、、、、、、、映画全体として、理想の姿はかぼそいが、ラストの久我、千石とのコントラストは、微かであっても、理想の姿を追うのだという黒澤の固い決意を見た思いがした。 【王の七つの森】さん [DVD(字幕)] 10点(2005-06-28 12:48:50) (良:1票) |
58.冒頭の弾丸摘出シーン。ものすごく痛そうでした。自分の手がうずくくらい。映画としては後味わるい部類なんで個人的には評価しにくいのですが、人の道に背いたヤクザな人生の末路はこんなもの…とでも言いたいのでしょうか?話は少しそれますが、「ハウル…」でソフィの声が年齢に合わない婆さん声だ!と感じていましたが、この映画の17歳役の患者の声を聞き、ソフィの声はアリなんじゃないかと思ってしまいました。 【クルイベル】さん 6点(2005-02-28 10:15:28) (笑:1票) |
57.三船の画面から飛び出してきそうなギラギラした迫力がすごい。台詞が聞き取りにくさなんて、ちっとも気にならなかった。夏の季節感の出し方が抜群、これは「野良犬」にも感じたことだ。物干し竿で、死んだ三船を捉えたカメラの動きに注目。ちょっとした場面のカメラの動きが素晴らしい。 【ひろみつ】さん 9点(2003-11-06 22:35:10) (良:1票) |
56.清々しいほどシンプルかつバッサリと行く映画だった。 志村喬と三船敏郎の出色の演技を見るための素朴な背景である。 【浅田荷葉】さん [DVD(邦画)] 4点(2019-03-22 12:07:50) |
55.眞田と松永の台詞が全編に亘って怒鳴っていることに辟易する。掃き溜めに鶴と呼べる女学生の存在がなければ観るに堪えない作品。真に強い人間について考えさせられるエンディングが秀逸。 |
54.《ネタバレ》 1948年かー、古いなぁ~~。三船さんとかパッと見たら誰か分からないくらい若い。全体的に音声が悪くてちょっと聞き取りにくいのが残念。終戦からまもない状況なのに、意外にアメリカ文化に馴染んじゃってる感じがした(感心)。当時の日本の状況がうかがえる内容だったかと思いますが、ちょっと昔すぎて知らない人が多いのでイマイチ乗れなかったかな? そんな印象でゴザイマス 【Kaname】さん [CS・衛星(邦画)] 4点(2015-10-15 09:47:57) |
53.《ネタバレ》 日頃から札付きのチンピラみたいな顔の三船がヤクザの「松永」を好演。 デビュー作「銀嶺の果て」から既に雄の匂いがプンプンしていたが、この映画でそれが爆発。 演技は駆け出しホヤホヤのチグハグで、何を言ってるか訳わかめ。 字幕があっても声が聞き取れねえ。 ただこの男が醸し出すオーラ! 戦争の暗さを背負い、それに負けない笑顔と怒りに満ちた三船敏郎は演技を超えた凄みを感じる。 地のオーラと動きで魅せる。 マキノ雅弘の「抱擁」でスマートなヤクザを演じていたのとは対照的だ。 オマケに仲間のヤクザに裏切られようともまだ仁義があると頑なに信じる松永。何度裏切られようとも。 酔いどれの医者に気遣われた恩を忘れずに庇い、「こんな腐った泥の中にも、一輪の蓮の花が残ってるはずだ」と信じ続ける。泥の中に咲く蓮の花を・・・。 こんなヤクザに同情すんなって方が無理だよチクショウ。 最後までヤクザを貫く山本礼三郎の存在も圧倒的。機銃のようにギターを抱えていやがる。 千石規子と久我美子は最高の癒し。 「静かなる決闘」の千石規子も良かったぜ。久我美子の初々しさが「白痴」であそこまで変貌しようとは思わなんだ。 壮絶な決着の後に、静かな感動をもたらしてくれる。 ペンキ塗れの壮絶な散り様は「野良犬」のクライマックスで“色”がつくラストにも繋がっている。 【すかあふえいす】さん [DVD(字幕)] 9点(2014-12-18 17:29:58) |
52.《ネタバレ》 1948年の黒澤明監督映画。 結核を患うヤクザ松永をなんとか治療しようとする医師真田の物語。 この映画のテーマは2つある。 1つは反社会的勢力的な意味である。 松永はヤクザの仁義を信じて疑わないある意味で純粋な人間であるのだが、ヤクザの仁義などというものは虚像であり、惨めな末路を辿る。 もう1つは理性である。 理性と欲望の間で葛藤する松永であるが、岡田の登場を機に欲望に溺れていく。 対照的に最後まで理性を失わず真面目に結核と向き合い松永とは正反対の結末を迎える。 黒澤明は、バラが沼へ沈んでゆくシーン、クライマックスで飲み屋の女が女学生と真田に見せる目など、洗練された演出でこのテーマを完璧に魅せる。 そして俳優陣の素晴らしさがそれを際立てる。 反骨心溢れる演技を見せた主人公真田役の志村喬も勿論素晴らしいが、熱いギラギラとした演技を見せとてつもない存在感を表した三船敏郎が素晴らしい。 黒澤明監督映画の中でも1、2を争う傑作である。 【こしち】さん [DVD(邦画)] 10点(2014-08-07 21:33:40) |
51.《ネタバレ》 若き三船敏郎がなかなかいい、ベテランになってからもいいんだが、役者としての型ができすぎているから。内容は本日休診のような感じかと思えば、良い意味でも、悪い意味でも裏切られた。ストーリーはそんなに難しくはない、しかし、この戦後混乱期に、色々試行錯誤が観られ、これからの期待があるのが感じられたので、よかったとおもう。 【min】さん [DVD(邦画)] 7点(2013-04-04 20:48:41) |
50.《ネタバレ》 ドブ池のあちらにはやくざの仕切る街、こちら側にある診療所でやくざの三船が結核を宣告されるところから物語が始まります。あちらの世界から松永の死を予感させるギターが聞こえてきます。さみしい音色は彼の病死を暗示するのですが、途中から引き手が岡田に交代して、三船は病死ではなく、彼が仕切っていた街を取った岡田によって殺されてしまうのです。ドブ池のあちら側にはやくざの仕切る悪意に満ちた死の街、こちら側は診療所。結局あちらからこちらに生きたままわたってこれたのは、セーラー服の女学生とやくざの街にあって松永に温かく接していた飲み屋のおかみだけ。松永は骨壺に収まって戻ってきます。 松永の死にざまを、ぎらついた演出で、それでも避けられない死を伏流させつつ淡々と進む物語のように感じられました 【とっと】さん [DVD(邦画)] 7点(2013-03-02 20:48:05) |
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49.志村喬と三船敏郎のキャラ設定が絶妙の作品。 演出はいい部分と悪い部分がくっきりしていて、空振り演出には思わず苦笑してしまったけど、 「面白そうだからやってみよう」といった、若かりし頃の黒澤監督の意気込みが窺える。 やくざと女子高生とを、さりげなく対比させているところがいいよね。 テーマはちょっとぼんやりしているが、読み取る力のある人なら十分伝わるはず。 それにしても、みんな若いね。 【MAHITO】さん [DVD(邦画)] 6点(2011-08-09 06:18:22) |
48.飲んべえであっても、かわいそうな人たちに尽くす医者の物語かと思って見たが、つまらないヤクザ映画だった。こういう自分を大切にせず、強がる男は大嫌いである。 台詞も早口で怒鳴っているだけか、ぶつぶつと喋るかで聞き取りにくい。唯一救いだったのは、笠置シヅ子のブギを歌う姿が見れたこと。 【ESPERANZA】さん [DVD(邦画)] 3点(2011-07-25 05:29:48) |
47.《ネタバレ》 刑務所帰りのやくざ岡田のキャラが中途半端。怖さや凄みが感じられない。ギターを上手に弾いたりさせるからだ。悲劇を盛り上げるためには岡田を冷徹な敵役にする必要があった。 ◆舎弟の松永は岡田を殺しに行ったが、動機が釈然としない。親分が松永の縄張りを岡田のものにしたのが原因だ。だが松永の病気の体では土台やくざ稼業は無理だ。それに恨むなら親分を恨むべきだ。ここは岡田に悪逆非道の振る舞いをさせて、正義感に芽生えた松永が岡田を諭しに向かい、勢いで殺し合いになるという展開にすべきだった。それなら松永に同情できるし、収まりが良い。 ◆眞田医師のキャラは個性が強く、良くできている。酔いどれ天使を自称。正義感が強い。病気を憎み、悪を憎み、悪を作り出す環境を憎む。一方で若いころ放蕩したことへの自責の念が強く、お酒が手放せない。松永と似たもの同志だ。だから同情も反発も強い。 ◆一方松永の掘り下げが弱い。生い立ちややくざになった経緯を示すべきだろう。しんみりと過去の境遇を漏らす場面があってしかるべきだった。どうしてあんなに退廃的で、死に急ぐ生き方をするのだろう。居酒屋の女との関係も描けていない。女はどうして松永に優しくするのか。どういう関係であったのか。描きこみが足りない。松永にはっきり足を洗って、田舎に引き籠ると言わせればよかった。どうでないので、ラストシーンで悲しくならない。悲劇になりきっていない。 ◆松永と好対照の女子高生を出したのは良かった。松永の生き方が浮き彫りになる。ただあんな病院で結核が治るかどうか疑問である。レントゲンもないのだから。 ◆中途半端な内容になってしまったのは、脚本の植草圭之助とそりが合わなかったからだろう。黒沢は徹底したやくざ嫌い。一方植草はやくざに同情的で、環境が悪いのであり、本人ばかりの責任では無いと主張。植草は幼馴染で大の親友なので切ることはできなかった。やくざの愚かさ、怖さ、苦悩といったものが全く伝わらない平凡な作品になっている。 ◆感心したのは最後の殺し合いの演出。松永が飛び込む。誰もいない廊下。女が逃げ出してくる。三面鏡に移る松永の姿。恐怖にゆがむ岡田の顔のアップ。構図が次から次への決まる。音楽を廃し、時が止まったような印象を与える。黒澤監督の初めての芸術的な演出と思う。夢のシーンも超現実的で印象深い。 【よしのぶ】さん [ビデオ(邦画)] 6点(2011-03-06 07:17:39) |
46.録音状態が悪く早口で喋る台詞は半分くらいしか聞き取れなかったんだけど、どんなことを言っているのかは前後の流れと役者の表情と勢いで分かるのでストレスが無かった。台詞を気にする自分にとっては珍しいことだ。セオリーを踏み外さない演出と、志村喬と三船敏郎の二人の芝居によるところが大きいと思う。三船敏郎は初めての黒澤作品のようだ。大河内傳次郎や藤田進が主演していた本作以前の作品と比べると、黒澤映画が芯のある柔軟さと機動力を獲得したような印象である。 【アンドレ・タカシ】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2010-10-10 23:12:37) |
45.三船敏郎が20代の頃の作品で、後年の脂ギッシュで貫禄のあるイメージがあるだけに、新鮮味を感じた。 話としては卒がなく楽しめる内容。 脚本ありきの黒澤映画は多少苦手だが、これは案外すんなり観られた。 ヒューマニズムがいきすぎていないのが良い。 『赤ひげ』までいってしまうと、クド過ぎるので・・・ 【にじばぶ】さん [CS・衛星(邦画)] 6点(2010-07-08 22:21:01) |
44.《ネタバレ》 第2次大戦終戦3年後に作られた黒澤映画。 白黒で画質も悪いのに、この見応えは何なんだろう。 ストーリーは複雑ではないのだが、水溜りのドロドロさに代表されるさまざまな細部の描写や展開の緩急で見るものを引き込む脚本、カメラワークの凄さや、若い三船敏郎の鬼気迫る演技と志村喬の熱血漢ぶりなどの演出の素晴らしさなどが、びんびんと伝わってくる。 むしろ白黒だからこそ、画質が悪いからこそ出せる魅力なのかもしれない。 黒澤映画、凄い!! でも、ちょっと重い(^^; 【nobo7】さん [DVD(邦画)] 7点(2010-07-01 02:09:05) |
43.《ネタバレ》 もちろん酔いどれ天使の志村喬さんは良いのですが、やはり三船敏郎のギラギラとした感じが凄まじく、これ以降、黒澤映画の主役として圧倒的なスター性を放ち活躍することになるのも頷けます。黒澤監督もきっと三船のシーンの方が撮っていて面白くなってしまったのではないかと思わせるほどです。例えば、最後に岡田の所へ殴り込み行くシーンが素晴らしく、実際はそう長くない?廊下を長く使って見せ、乱闘の末にペンキでベトベトになって物干し場で事切れる松永の姿は強く心に残るものがあります。あの場面が素晴らしいあまりに、その後にあるエピローグの部分が全くの蛇足に見えてしまうほどです。 【ミスター・グレイ】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2010-04-06 18:27:56) |
42.面白いことは面白いのだが、少々濃厚過ぎて参った。 特に、ブギはきつい。 志村喬は最高だった。 【タックスマン4】さん [DVD(邦画)] 5点(2009-11-08 17:54:10) |
41.《ネタバレ》 ふきだめの沼、猛暑、バルコニーでの死など印象的なシーンがおおい。しかし人間模様は清清しい。 【ホットチョコレート】さん [ビデオ(邦画)] 8点(2009-05-24 08:49:20) |
40.良い映画でした。 どろどろした沼と寂しげなギターの音色、逆にギラギラした街が混沌と無常感を醸し出していたと思います。 志村喬は演技の幅が広いですね。素晴らしい。 でも何より秀逸なのは、若き三船演じるヤクザでしょう。 悲しみを隠し切れず、ヤケになっていくところはとても切なくなりました。 エンディングでもっと泣かせてくれるのかと思いきや、 意外とアッサリ終わってしまったのが個人的には残念。 【おーる】さん [DVD(邦画)] 6点(2009-03-14 13:45:30) |