3.“初川島雄三”を「フィルムセンター」で体験してきました。
川島作品といえば、『幕末太陽傳』『洲崎パラダイス 赤信号』『しとやかな獣』辺りから入っていくのが無難なんでしょうが、貴重な本作がちょうどフィルムセンターで上映されるということで、行ってきました。
フランキー堺が主演の1950年代喜劇ということで、自分にとってはやや敷居が高かったですが、意外と楽しめました。
主演のフランキー堺、ジャズ・ドラマー出身ということですが、演技うまいですねー。
びっくりしました。
そして変に体格も良いです。
そして脇役で強い個性を発揮していた桂小金治。
こちらも落語家ですが、自然な演技で素晴らしいです。
若い頃も同じ様な顔してたんですね。
ヒロインの淡島千景ですが、個人的には好みに合わなかったです。
なので、男性出演陣に共感できず。
あのパーマは、現代的センスで見てしまうと、ひいてしまいます。
完全におばはんパーマです。
ところで本作、冒頭から凄いハイテンションです。
よほど集中していないと流れについていけないくらいのスピード感。
その後も、ドタバタ喜劇的な色合いのジョークが連打されていき、観ているこっちはノックアウト気味です。
これを「息もつかせぬ笑いの連続」と取るか、「テンション高すぎ、スピード早過ぎで疲れる」と取るかは、ほんと好み次第。
私は両方でした。
笑いのセンスとしては、正直合わない部分が多かったです。
しかし、登場人物が全てクセ者ぞろいで、各キャラクターが実によく作りこまれています。
その為、後半はいつの間にか“川島ワールド”に引き込まれたのも事実。
特にフランキー堺の演ずる主人公が、実に人間味があってよかったですね。
“サヨナラだけが人生だ”
何度となく本作で繰り返される“川島監督の座右の銘”といわれる名文句。
実に奥深い言葉でした。