3.《ネタバレ》 これは……面白いんだけど、最後で台無しってタイプの映画ですね。
途中まで、というかラストのオチ以外は良い感じなんです。
「最凶女装計画」では女装ネタの王道を描いたウェイアンズ監督が、今度は赤ちゃんに成り済ますネタの王道を描いており、どこか既視感を覚える展開ながらも、面白可笑しく纏めてる。
無邪気な赤ん坊の振りして美女に授乳をせがんだり、子供達に悪い遊びを教えたりと、こういうネタなら外して欲しくないって部分を、ちゃんと押さえた作りになってると思います。
脇役にも良いキャラが揃っており「幼稚園への送り迎えを仕事にしてるママさん」なんて、特に良かったですね。
彼女が車を暴走させる場面が、本作のピークだったんじゃないかと思えたくらいです。
赤ん坊に成り済ましたキャルを疑うのが年老いた父親という事で、本当の事を言ってるのに「とうとう呆けてしまった」と思われ信じてもらえない流れなんかも、上手かったですね。
主人公のキャルもダリルも、子供時代に問題があったようなのですが、それをクドクド語る真似はせず「生まれて初めての誕生日会で、感激して泣いちゃうキャル」という描写や「俺、父親業が好きだ。凄く楽しい」「自分の父親とやれなかった事がやれるんだから」と語るダリルの場面などで、サラッと描いている辺りも良かったです。
でも、やっぱり最後が……
「ダリルの妻が産んだのは、実はキャルの子」としか思えないオチであり、流石にブラック過ぎるんですよね。
今回の事件を通し、ダリルとキャルの二人には友情が芽生えていただけに、余計にやり切れない結末。
ここの部分をカットしておいてくれたら……と思わずにはいられないです。
ちなみに本作はラジー賞を幾つか受賞しており、バックス・バニーのエピソードを盗作したとの声もあるようですが、個人的にはこのくらいなら「パロディ」の範疇じゃないかと思えましたね。
盗作と言うなら「最終絶叫計画」の方がよっぽど「スクリーム」そのまんまな訳だし「最凶女装計画」も「バッドボーイズ」(1995年)の盗作って事になっちゃいますし。
本作だけ殊更に騒ぐのは不自然というか、不適切なんじゃないかと。
冒頭にて述べた通り、最後のオチだけは褒める気になれないけど……
それ以外は、かなり良く出来てる。
「ラジー賞を取った映画は、意外と面白い」法則に当てはまる一本として、カウントしたくなる映画です。