2.社長シリーズと並ぶ森繁久弥主演の喜劇映画シリーズである駅前シリーズのひとつ。第1作「駅前旅館」の豊田四郎監督が再登板している。このシリーズを見るのはその「駅前旅館」以来2本目であったが、シリーズの開始10年という年に作られた本作はやはりシリーズ末期の作品で、あまり面白みを感じられない。(「駅前旅館」もそんなに面白くはなかったけど。)このシリーズは地方ロケが多いらしく、今回の舞台は赤羽。「宝くじ踏切」と呼ばれる開かずの踏切が開くのを待っている人々の光景はいかにも昭和という感じだし、ゴミ焼却炉の煙の問題を背景として出してくるところに当時の世相がうかがえ、その辺りは興味深いが、主演の三人のやりとりをはじめ、笑いの部分になるとなんかイマイチなのが残念で、ぜんぜん楽しめないことはないのだが、せっかく森繁、伴淳、フランキーという喜劇俳優たちを用意しているのになんかもったいない気さえしてしまうし、(その分、脇で出ているナベプロ時代の藤田まことなどが頑張ってるような印象はある。)豊田監督の演出にもやや精彩がない感じ。女優として芝居をしている黒柳徹子を初めて見たけど、やっぱり若いなあ。でもしゃべり方とかは今とあんまり変わっていないような気がする。