13.《ネタバレ》 ほほう、バイアグラ販売員の映画なのか……と思っていた序盤から一転、所謂「難病モノ」な内容にシフトする構成には驚かされました。
こういったテーマを描く際、女性側は「余命僅かな不治の病」というパターンが多いのですが、本作においては「病気と闘いながら生きていかなければならない」という形だったのが新鮮でしたね。
彼女を愛するならば、一時の悲劇で済ます訳にはいかない。
パーキンソン病という障害を背負った彼女と、長い「余命」を共に生きて行かなければならない。
徐々に変貌していく彼女を、本当に愛し続けていく事が出来るだろうか?
と問い掛けてくるかのような内容には、大いに考えさせられるものがありました。
ただ、そういった深いテーマが盛り込まれた映画のはずなのに、作風としては非常にライトなノリなのですよね。
このギャップというか、落差をプラスと捉えられるか否かによって、この映画の評価が変わってきそう。
自分としては、それなりに面白かったのですが、今一つハマりきれないものもあったりして、少し残念です。
理由としては、主役二人に対して「病気に負けず頑張って生きて欲しい」と思えるような印象が乏しかった事も挙げられるでしょうか。
主人公の男性は、道徳的に善人とは言い難い軟派男だったりするし、ヒロインも第一印象が余り良くなかったもので、どうしても距離を取って眺める形になってしまった気がします。
とはいえ、二人とも悪人という訳ではないのだし、ハッピーエンドだった事にはホッとさせられましたね。
アン・ハサウェイは好きな女優さんなので、彼女のヌードが飛び出すシーンには、恥ずかしながら興奮したりなんかも。
作中、あまり彼女の病状が進展しない内に「綺麗なまま」映画が終わってしまった件に関しては
「いやいや、そこから先が大変なんでしょう?」
と、納得出来ない気持ちもあるんですが……
「主人公の強い決意を描いた以上、二人はずっと一緒なのだから、ここから先はあえて描く必要は無いのだ」
という作り手からのメッセージなのだと解釈したいところですね。
元ネタである自伝「涙と笑いの奮闘記 全米セールスNo.1に輝いた"バイアグラ"セールスマン」の作者は、この本はラブストーリーではないと語っているみたいですが、映画の方は立派にラブストーリーとして成立していたと思います。