91.《ネタバレ》 オーソン・ウェルズ版('48)やロマン・ポランスキー版('71)、
ジャスティン・カーゼル版('15)も見てる(ジョエル・コーエン版は未見)
自分としてはキリスト教の教義がわからない分、単純に
「野心と欲望に満ちた男の破滅」を日本的(能や狂言みたい表情演技)
なテイストで味付けしている、「マクベス」の映像化として一番面白かった。
好きなのは2点。まず女性の使い方が黒澤明作品史上一番うまい。
女性の美貌というより情念に重きを置いてるのが彼らしいっちゃ彼らしい。
山田五十鈴と浪花千栄子なら当然か。
あとは黒澤明の演出するアクション場面・演出力はこの当時
世界映画史上の才能をもっていた事がわかる、という点。
森林の中を駆け抜ける馬のダイナミズムや有名な弓矢の
ラストシーン。それを担っていた三船敏郎の素晴らしさもあるけど
弓矢が一本壁に刺さる、からのあの矢衾(やぶすま)は単純に凄い。
あえて難点をいうと、やっぱり音質。
今回「午前10時の映画祭」での4Kリマスター版で鑑賞。
映像は素晴らしいし、30年前に場末の映画館で感じた時の
「台詞がさっぱりわからない」頃から比べれば凄い改善なのだが、
これは出来たら字幕つけて欲しい。自分の鑑賞時は無かったけど
他のところはどうなのかな。老年に至る映画ファンの為にも、
いろんな意味でのバリアフリーを!