104.《ネタバレ》 久しぶりに見て、ちょっと今までと違った感想を持ちました。
ラストで土方(ビートたけし)が惣三郎のことを「化け物が棲みついた」と言ってるけど、
棲みついたというより彼は元々「子どもの化け物」だったのだろうと。
そして新選組に入って化け物として成長したんだと思いました。
入隊試験の時年齢を「18です」と答えて、土方に「本当か」と言われますが、
実際はまだ15,6だったのでしょう。
彼は血の匂いというか人を斬るのが好きなので、初仕事で罪人の首を切り落としても眉一つ動かしませんし、
内心「やったー!新選組に入って良かった!」と喜んだはずです。
自分の魅力に周りの大人たちが色めき立ち、自分を巡って争いが起きる。
最初は面白がって言うとおりにしてるけど、しつこくて面倒くさくなったら斬っちゃう。
つれなくされてムカついたので斬ろうとしたけど失敗したので、人のせいにしちゃう。
発想が単純。子どもだから。
彼の曖昧な笑みや態度に、大人たちが深読みして右往左往するけど、土方の言うように本当に「何も考えてない」のです。
惣三郎が沖田総司に懸想してたのは確かだと思いますが、彼の行動は「菊花の契り」とは一致しないので、
わざわざ挿入される話としては違和感があります。
総司は、隊の規律を守るためバッサリ成敗してしまいますが、表向きは惣三郎には何の罪もないので、本音は「嫌いだから」でしょう。
本音より建前の隊士の中で、沖田だけが正直で清々しいです。
武田真治がはまり役でした。
今まで映像の美しさや、不安定感を煽りながら耳に残る音楽や、
松田龍平の少年期特有の中性的な妖しさに気が取られがちで感じなかったのですが、
今回は、結構要所要所で土方が状況説明してるのが気になりました。
説明しすぎなくらいです。
認めたくないけど、土方自身も惑わされてたのでしょう。
伐られた桜の木はいい迷惑です。
どの視点で見るかによっても結構楽しめるので、忘れたころにまた見ると思います。