2.《ネタバレ》 デミルの西部劇の中でも「平原児」に並ぶ最高の1本。
西部劇の醍醐味がすべて詰め込まれているし、とにかくメチャクチャ面白いし。今見ても最後まで楽しめる指折りの西部劇の一つだと思う。
序盤は銃撃戦の一切ないドラマが25分続くが、コレがまた面白い。銃撃戦だけが西部劇じゃないって事を証明してくれる出だしだ。
25分を過ぎた辺りから次々と巻き起こる事件の数々。アクション、ガンファイト!特に中盤のスー連合(インディアン)との死闘は西部劇史上に残る屈指のスペクタクルだ。
物語は大西洋と太平洋を結ぶ「大陸横断鉄道」の施工を巡って繰り広げられる政治ドラマから始まる。
そこから鉄道工事に命を賭ける個性豊かな面々のドラマで楽しませてくれる。
武闘派エンジニアで列車の保安官を務めるジェフ・バトラー、
列車の運転手を務めるモナハン、
モナハンの娘で男勝りの元気な女性モリー、
アウトローでバトラーの戦友でもあるディック、
用心棒を務める鞭の名手フィエスタ、
フィエスタの相方リーチ、
過激なクレイトン、
工事の阻止を企てる悪党キャンポーと魅力的な登場人物たち。
特にキャンポーにつるんじゃいるが昔の義理でバトラーを裏切れないディックの存在が面白い。
酒場でのやり取りは絶対「やっちまいなバトラー」ってシーンだと思うぜ。ピカピカに磨かれた鏡に感謝だ。
セリフの方も熱い言葉が多い。
「拳銃で人の心を変えられないわ」
「顔を隠せ身元が判らなくなる」
「モーゼだって海を渡ったぜ」
「私は支持するわ」
俺も支持するぜ、インディアンを無闇に殺しやがった男をブチのめしてくれたバトラーに。
デミルの西部劇はただの娯楽じゃない。インディアンを撃つ前に「殺生も許されるわよね赤い悪魔なら」なんてセリフはデミルの作品じゃなきゃ言えねえよ。
命懸けで大陸に渡った開拓者たち、元々そこを故郷にしてきたインディアンたちの衝突。
交流もあったが、その多くは殺し合いの負の連鎖が続く悲劇を生んでしまった。今日に語られる西部劇はその負の連鎖を正直に告白してきてくれた。もう二度と同じ過ちを繰り返さないためにも。
西部の荒野を突っ走る列車に込められたフロンティア魂。線路は続くよ何処までも。未来に向かって今日も人々の夢と希望を乗せて走り続けるだろう。