2.《ネタバレ》 まず原題の文字数の多いことにはびっくり、『博士の異常な愛情』といい勝負ではないか。毎度のことですけど、現在進行形の事件を題材にしちゃうハリウッド(この映画はHBO製作のTVムーヴィーですが)のえげつなさには恐れ入ります。でも実際にはこの映画の元ネタとなった事件はテキサスの田舎街で起こったショボいお話しなので、あまりに大げさな原題は一種の皮肉なのかもしれません。そのシニカルな目線は存在感が希薄というか登場人物たちの薄っぺらい造形にも顕れているのかもしれません(これは役者の演技や脚本がヘボいという意味ではありません)。その中でも群を抜いているのがH・ハンターの驚異の演技。あまりにバカバカしくえげつないこの事件が、彼女の怪演すれすれの熱演のおかげでなんかとても教訓的な印象すら覚えてしまうぐらいです。でっかい蜘蛛を握りつぶすシーンには背筋がゾッとさせられますし、あんな目つきでガンつけられたら思わずチビってしまいそうです。B・ブリッジスと車の中で延々と殺人謀議を続けるシーンなんか、もうハンターの演技に釘付けでした。 ラストのこれまた皮肉たっぷりのテロップは爆笑必至です。