1.《ネタバレ》 まず言及しておきたいことは、邦題のこと。はっきり言って映画の内容からは程遠いということです。確かに『泥棒株式会社』というネーミングはセンスが良いんですけどね。 簡単に言いますと、ピーター・セラーズたち三人の釈放まじかの囚人が刑務所を抜け出してダイヤモンドを強奪するというのがお話の内容です。そのあと刑務所に戻ってくればいざというときには鉄壁のアリバイになるしすぐに満期出所で大手を振って娑婆に戻れるという寸法なわけです。これに絡むのが彼らが逮捕されたときに一人だけアリバイがあってムショ送りにならなかった仲間の詐欺師、こいつが牧師に化けて刑務所に出入りするところが面白い。またセラーズの恋人や一味の母親までもが一緒になってダイヤ強奪を手伝うというのもなんかとぼけていて可笑しいところです。でも傑作『マダムと泥棒』やアレック・ギネスが主演していたころのイーリング・コメディに比べると、とってもどんくさくてモタモタした印象です。刑務所体制やダイヤを護送する軍隊なんかのお上を徹底的に茶化すところはモンティ・パイソンでおなじみの英国コメディの伝統ですかね。でも肝心のピーター・セラーズが妙におとなしい演技なのがテンションが上がらなかった原因かもしれません。 最近のピカレスクもの映画のようにどんでん返しに凝るということはなくまったりと観れる映画なんですけど、やはり英国コメディにはゲップが出るほど濃厚さが欠かせないなと改めて感じました。