1.ゆったりとしたテンポがけっこう心地よかった。ゆったりというより、ねっとりか。陽が陰っていく部屋の味わい。ただミステリーとしてはあんまりスッキリしなかったような。門倉聡いう人のギターの音楽がなかなかいい。これもう二十年近く前の映画で、草刈正雄はいくつだったんだろう。この人は二枚目という十字架を背負いつつ、それでも一生懸命世界を広げようとしているマジメさがあって嫌いじゃないんだけど、でもなんか代表作に恵まれずズルズル来てしまった。最近ではとうとう『女王陛下の草刈正雄』までやって。日本映画はこういうタイプをうまく使いこなせない。加山雄三だって、喜八・黒澤・成瀬以後ズルズルと若大将でつぶして七十にしちゃったし。