1.とてもとても変てこな映画だ。映画の主人公そのままに、間違いなく観ている側も“不思議な世界”へ引き込まれる。この映画世界は何なのか?主人公の男の混乱した精神世界なのか?劇中の小説家が描く愛についての物語の世界へ入り込んでしまったのか?たぶん、明確な説明などは必要でないのだと思う。この映画の作り手が望んでいるのは、そういうことではないと思う。
観客のそれぞれが、それぞれの“捉え方”をし、それぞれの結末に対する感情を持つべきなのだろう。
きっと、観終わった直後では、自身の中においても感情としての答えは定まらない。でも今はそれでいいのではないかと思う。
遠い、北の国でつくられたこの映画は、ただ単に冷たいだけではない冷ややかな体温をしっとりと観る者に残す。