1.《ネタバレ》 映画の中で〝Gメンの研修用フィルム〟として本作を鑑賞するかたちで始まるのは、いかにも映画を見る感じがして面白いです。内容に関しては裏切り行為なので本来ならもっとドロドロするはずなのですが、引退するマッケイ親分の完全無欠の気の抜けようとジェームズ・ギャグニーのコメディに通じる動きによりどこかさっぱりした作りになっています。特に良いと思いますのは個々の役者さんたちの顔で、裏世界とつながりのあったGマンのギャグニーの顔は一見ギャングっぽくありながらも、イタズラ小僧のように愛想があるので丁度その二重の感じが表われていますし、次第に打ち解けていく上司や殉職する同僚もまさに善玉の面持ちです。さらにクチナシを常に胸元にさすレゲットのニヒルな表情も素晴らしく、Gメンたちにしてもギャングたちにしても実にそれらしいです。そしてそれにもまして華を添える二人の女優さんがとっても綺麗なのです。殊にギャグニーがかつての恋人とお別れのキスをするシーンが感動的で、キスをし終わってギャグニーの顔が上がるとそこにはすでに事切れた彼女の表情が映るのですが、その顔がとても美しい。