1.《ネタバレ》 余韻の残るミステリー。大女優は妊娠中にはしかを移されて、生まれてきた子供が障害者になる。その精神的ショックで精神病となり、銀幕の世界から引退。何十年か後にはしかを移したファンが偶然現れる。女優はとっさに復讐を果たす。妻が犯人であることを知った夫は、妻が逮捕されると彼女の精神がもたないと案じ、自殺にみせかけて安楽死させる。ミス・マープルはそれを見逃す。それが彼女が女優としてカムバックする映画を製作中であり、そのことが悲劇を盛り上げている。トリックはなきに等しいが、犯行動機が出色。
この殺人に、女優の夫を愛する秘書とかつて女優に捨てられた養子をからませて、鑑賞者をけむりに巻く。単なる謎解きミステリーとは一線を画す作品。