1.《ネタバレ》 ここまで救いようのないことってあるんでしょうか?わずかな希望さえも簡単に打ち砕かれてしまう。彼女には、私達が思う「普通の暮らし」さえ手に入らない。親友の裏切りによって、友人達から売春婦と罵られ、けれども確実に売春に身を落としていくリリアはとても見ていられませんでした。親友ヴォロージャだけが、リリアの存在の証だったんじゃないかなあ。リリアを慕い、常に彼女を守ろうと彼なりに頑張る姿に胸を打たれました。ヴォロージャも、これ以上ボロボロになっていくリリアを見ていられなかったんじゃないかな。リリアが出て行った後、ヴォロージャは自ら命を絶ったけど、「リリアはもう手の届かないところに行ってしまった。僕がここにいる意味はもうない」と彼は思ったのではないでしょうか。勝手ながら私はこう思っています。 人身売買としてスウェーデンに送られてしまったリリアの状況は、かなり残酷で悲惨です。でもこれは実際に起こっていることなんです。今でも何千という少女達が犠牲になっています。 欲望のはけ口にされ、毎日のように男達の相手をさせられるリリアは、映画が進むにつれ人形のようになっていきます。感情もなくなり、言葉も発しなくなるほど、精神的にも肉体的にも壊れていくリリアを見て、私は泣きました。「なぜこんなことが起こってしまうのか」と強い憤りを感じました。 ヴォロージャは、自殺しようとするリリアに「死んではだめだ。死ねば奴らの勝ちだ」とこう説得します。自分は死を選んだけど、彼女にはまだ生きる道が残されている。そう信じていたのではないでしょうか。もう一つ、彼女を自分と同じ運命にはさせたくなかったんだ思います。 ラスト、天使になった二人が笑顔でバスケットをする姿はもう、もう!! なぜ、ささやかな幸せさえ手に入れることを許されないのだろう。なぜ、死ぬことでしか真の安らぎを得られないのだろう。 激しい怒りと悲しみでいっぱいになります。 クレジット終了後の監督のメッセージには『この映画を、現在性産業に搾取されている世界数百万の子どもたちに捧ぐ…』とあります。一刻も早く、こんな社会がなくなれば...。そう願わずにはいられません。