11.《ネタバレ》 内容的には3点、妙な染色でマイナス1点、結果2点。 ぼこぼこぼこぼこ、セリフが「ぼこ(=子どもの意)」だらけでウザいし、BGMが大きすぎる上に鳴りっぱなしでチンチンうるさい。 方言が聞き取りづらいのも追い打ち。 高峰秀子の歩き方と体力が全くお婆さんっぽくないのも難点。 【にじばぶ】さん [インターネット(邦画)] 2点(2024-08-10 20:44:44) |
10.《ネタバレ》 古い映画には撮影した時代の空気が映り込んでいる。この作品もそうで大変興味深く見ることが出来ました。まず、合戦シーンがいい。今時の兵種ごとに分かれて密集する陣形よりかなりルーズな感じで戦っているのがそれらしい。で、侍大将が死ぬと配下で一番優秀な者がその後を継ぐみたいな描写もあって、下級指揮官は死亡率も高いし血統なんか重視していれば戦じゃ勝てないからなるほど思わされた。 また、裕福な商家が信玄の不興を買って家族皆殺しに合うのがこの作品の大きなモチーフになっている。いくら何でもこれは乱暴すぎる事件ではないかと考えましたが、よくよく考えれば戦国の狭い領国で一人金銭をがめていれば領国経営の邪魔だし、生かしておく意味もないわけでこれはこれでありだと思いなおした。武田は清和源氏の名門で何百年も甲斐の国を支配しているわけで目に見える恩恵はなくとも治安を保っているだけで恩恵ともいえるから何とも解釈次第ですね。農民が主人公だが、年貢を取り立てる場面はなかったなあ。なんとなく村を基盤にした徴兵制度みたいなのがあるのかと思っていたけど、この映画じゃ完全志願制だな。 まあ、この映画が歴史的に正しいかどうかは分かりませんが、いろいろインスピレーションをもらったのはたしかだし、その点で観て本当に良かった。 ところで、えらい目鼻立ちの整った末娘だと思って観ていたら岩下志麻だってさ。おぼこな志麻さんも素敵ですね。 【たこのす】さん [CS・衛星(邦画)] 9点(2022-12-25 17:12:54) |
9.《ネタバレ》 本来は大河的に描かれる武田家3代の60年程の時間軸。その領民生活の悲哀を2時間弱で描いているのでかなり駆け足。でも、長い歴史のスパンから考えれば、個々人の人生など芥子粒のようなもので、あっという間に儚く終わってしまうことを考えれば、駆け足で描くのも悪くないのかもしれない。史実的なことを考えると、この頃はまだ兵農分離(職業軍人)が確立しておらず、農民は兼業(徴兵か志願兵かも曖昧)だったのではないかと思うが、その辺の描き方がややいい加減だったのではないかとということと、最後の恵林寺のシーンは投降を呼びかけるものの僧侶が拒否したのであって、山門に押し込められて焼き打ちにあったわけではないので、こういうある種の煽情的な描き方には疑問がある。とはいえ、現代的に言えば、「国家と国民の関係」を描いているとも言え、いろいろと考えさせられる作品ではある。 |
8.《ネタバレ》 あれ、この映画デコちゃんが主演じゃなかったっけ?と中盤でふと思い出して、そこから映像を注視してやっと分かりました。しかし、意図的かと思うくらい役者には画面の焦点が当たらないし、しかも各シーンはやたらブツ切りで、なぜそんな方向性を目指したのかがまったく分かりません。また、作中では数十年くらい経過しているはずなのですが、その時の移りも表現されていません。その割に、やたらと「お館様」だけは連呼されているので、結局構想が宙に浮いたままになっています。終盤、染五郎の若い頃が存分に堪能できるところに3点。 【Olias】さん [CS・衛星(邦画)] 3点(2022-07-06 22:32:05) |
7.《ネタバレ》 武田信玄の領土の農民。 息子たちが武士になっていく。 次男は長篠の戦で、信玄側の武将がいっぱい死に、 自分らにも出世のチャンスが来たとばかりに武士になる。 が、武田側の凋落に敵側に寝返りするものが続出する中、 兄弟全員、追い詰められて、死んでしまう。 木下恵介の戦争反対の論調も確かだが、何より彼の戦時中の「陸軍」を思い出させる。 「陸軍」では田中絹代が日本軍の行進の中に息子の姿を見て、追いかける短いシーンがある。 そこがこの映画では、武士の進軍の中、母親が息子に追いすがり、行くなと訴えるシーンが 長く展開する。木下恵介は時代を変えて、この場面を描き直したかったのではないか? そんな気がした。 【トント】さん [DVD(邦画)] 7点(2019-11-30 18:26:23) |
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6.《ネタバレ》 戦国時代、戦に翻弄された百姓一家の物語。部分的に着色された、モノクロなのにカラー、色がついているのにモノクロという不思議な映画。パートカラーって聞いたことがあるけど、それかな?必ずしも成功しているとは言いがたいが、一部では効果を上げていると思う。『野菊』や『楢山節』など見た時にも思ったが、内容的に保守的な映画を撮る割には、映像効果の追求には大胆な監督なのだと、今更ながら感心する。 ところで、この映画は反戦映画と解説されていることが多いが、私にはそう見えない。戦争は悲惨、不条理、とだけ叫んでいるわけではない。むしろ、貧しい百姓にとっては裕福になるチャンスであったりする。戦というものが一般市民と近しい関係なのだ、これが「戦国の世」というものなんだなあ、と妙なところに感心する。 今、戦国時代と武将は、大企業とその経営者に例えるような、イメージで語られる事が多いと思うのだが、そういった意味では、彼ら百姓は個人商店で、大企業に就職して出世する(か、死ぬか。)という話に見える。過剰な忠誠心や、情に流されちゃう人がいる描写もしかり。そして、個人商店は跡継ぎを失って滅びてゆき、大企業はより強いところに負け、吸収される。あれ?今も戦国の世? 【Tolbie】さん [DVD(邦画)] 6点(2012-08-04 04:27:37) |
5.戦争映画、反戦ものと言うとやたらと戦争反対、戦争の恐怖を前面に押し出して騒ぎ立てる映画が今の映画には目立つ。そんなものとはこの映画は一味も二味も違う。確かに戦争の恐ろしさを描いているものの、戦争そのものを美化するようなことはしていない。木下恵介監督らしいヒューマニズム溢れる作品になっていて感心させられる。同じ監督で同じ原作者の「楢山節考」が歌舞伎の世界ならばこの映画は「今昔物語」を思わせる世界観、映像美、モノクロの画面の空にカラー、下にもカラーとその色分けが戦争の不気味さ、恐さを更に深いものにしているようなそんなとにかく映像そのものが不気味な上に音の響きの恐さやら色んな恐さがこの映画にはある。日本が貧しかった時代の農民の暮らし、武士における侍魂、時代劇風でありながらも反戦映画として観ることが出来る上に力強いメッセージを含んだ力作である。これを見てやっぱり木下恵介監督は派手な戦争シーンを描かなくても戦争の空しさ、恐さをきちんと伝えることが出来る素晴らしい監督であることが改めて解ったし、木下映画には成瀬映画と同じく高峰秀子という凄い女優の存在の大きさを感じずにはいられないほどとにかく高峰秀子が素晴らしい。最後に既に書かれている方がいますが岩下志麻のこれまた美しいこと! 【青観】さん [DVD(邦画)] 8点(2010-11-23 10:46:18) |
4.木下恵介監督が「楢山節考」に続いて深沢七郎の原作を基に手がけた時代劇。戦国時代が舞台になると武将や剣豪を描いたものが多い印象だが、この映画では、ある農民の家族の歴史を通して戦国時代を描いている。母親が戦になど行くなというのに対して、息子たちは親方様のためにと戦場へ赴く。この映画はさっきも書いたとおりもちろん戦国時代が舞台なのだが、「親方様」を「天皇陛下」に置き換えれば第2次大戦を描いた反戦映画のように見えるし、木下監督は間違いなく戦国時代の時局にあの戦争の記憶をダブらせて撮っているのだろう。とにかく重い内容で、見終わった後の無常感ももの凄いのだが、木下監督の反戦メッセージがストレートに伝わってくる秀作で、演出的にも合戦シーンでずっと鳴り響く鈴の音の不気味さや、一家の家の前の橋を通る人馬のひづめの音ははなにかを暗示しているようだ。映像的にも実験的な白黒映像に部分的に色をつけるパートカラー(タイトル前の松竹マークのバックのお馴染みの富士山からもうそうなってる。)も効果的で、白黒画面にポツリと浮かぶ赤い炎などが美しく印象的。クライマックスの行列に我が子たちを説得に来た高峰秀子扮する母親が加わってしまうシーンはこの映画の中でいちばん木下監督のメッセージが込められているような気がした。それにしてもこの映画を見ると戦国時代の戦も近代の戦争も庶民の目からすればあまり変わらないのだなと感じられてちょっと恐ろしくなる。ちなみにこの映画は岩下志麻の実質的な映画デビュー作だが、とてもそれを目的にミーハーな軽い気分で見られる映画ではない。 【イニシャルK】さん [DVD(邦画)] 8点(2010-04-29 01:18:48) |
3.この映画、特殊なカラー効果が印象に残るが、音もいいのではないか。主人公たちの家に“政治”がかかわってくるときは、橋の板を踏むバタバタいう音が、まるで歌舞伎の、あれ何て言うの、舞台の端に座ってて板を打つヤツ、あのように響いてくる。原泉の御詠歌のチリンチリンが、戦闘場面の間にも鳴り渡る。まあ原作が傑作なんだけど、傑作文学を映画化して傑作になった稀有の映画だ。やたら被害者意識のみが蔓延してた中で、戦争で生き生きとする庶民て視点が新鮮なんだろうな。つらい日常を忘れさせてくれる祭りの興奮であって、親方様にさんざん痛めつけられても、先祖代々御恩になって…、っていうとこほど戦争における庶民を批判したものはない。けっして庶民は一方的な被害者ではなく、戦争を盛り上げた当事者でもあった。一方、親方様への怨みだけで生きている荒木道子もすごく、息子ともども山門で火に包まれながら、親方様の滅びに歓喜するところ。ラストで高峰秀子が行列に着いていってしまうとこのみ、やや湿り気を帯びたが、あれは思えば『陸軍』の母親にそのまま一緒に行かせてやったものだな。一家が戻ってきたらどこに住もうか、と老夫婦が相談してる場のほうがゾクッとくる。ともかく戦争における庶民を批判する映画で、これほど厳しいものはあんまりなかったと思う。やがて『心中天網島』で夫婦をやる二人が、ここではういういしく兄妹をやってた。 【なんのかんの】さん [映画館(邦画)] 8点(2009-05-21 12:06:27) |
2.これはちょっと凄い映画でびっくりしました。好きか嫌いかは別として、戦国時代のハナシでは有るけれど、間違いなくこれは同監督「二十四の瞳」(10点)を凌ぐ反戦映画だと思います。極めて客観的な観察眼の持ち主である主演高峰秀子をして、自叙伝「わたしの渡世日記」の中で「木下監督の心象と人生観を映し出した傑作」と言わしめた作品。長い間、木下監督の時代劇?畑違いちゃうんか~?と思い、ずっと敬遠していたんですが、いやはや、これは後からジワジワジワジワ来る秀作でした。大体木下監督の映画っていうのは、豪華スター競演が売り物で、監督の名前よりも先ず「高峰秀子主演の~」「佐田啓二主演の~」っていう印象が強いんですが、この映画に限って言えば、極端に少ないクローズアップ等から見ても、役者の顔は先に出てこない。高峰秀子など、主役で有るにも関わらず、最後までまともに顔さえ拝めない始末。まさしくこれは「円熟期木下恵介演出による秀作」に仕上がっています。あの「二十四の瞳」でさえも、全編に流れる唱歌やセンチメンタリズム故、肝心のテーマが掠め取られてしまった感が有るが(←でもだからこそ再見に値する!)ここにはそれすらない。鑑賞後に残るのは、ただひたすら空しい無常観。累々たる屍体を前にし「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり・・・」平家物語の一節が浮かんできます。合戦の間中鳴っている風鈴の音が異様で不気味。実験的なパートカラーの効果も抜群の効果を上げています。年老いた高峰秀子が馬に乗る岩下志麻に追いすがり、力なく足を叩く「手」の演技に私は唸りました。どこまでがセットかロケか判らない、笛吹川にかかる橋の偉容もいつまでも心に残る。 【放浪紳士チャーリー】さん [DVD(邦画)] 8点(2009-02-06 15:56:10) |
1.イニシャルKさん、お先に失礼いたします。この作品、戦国時代を舞台にしているけど、主役は武将ではなく戦国の時勢に翻弄される貧しい農民の家族。戦後15年目に製作されたこの作品に戦争の記憶が反映されているのは、おそらく間違いないでしょう。「いくさになんて行くんじゃねえ!」と息子たちに懇願する母と「先祖代々世話になっているおやかた様のためなんだぞ!」と気勢を上げる長男、最初は「オラいくさになんか行かねぇ」と言っていたのが兄たちに影響されて自らも死地に赴き、兄弟とともに自決する三男・・・きっと終戦直前の沖縄や、或いは旧満州でも、同じような事があったのだろうなあ、と実感しました。途中で何度も鳴らされる、まるで「諸行無常」を象徴するような鐘の音が印象的でした。 【ぐるぐる】さん [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-01-25 19:10:56) |