1.第二次大戦中、日本軍の捕虜収容所に捕われた欧米系女性たちが、自分たちの存在の証として、歌う。その美しく悲しい旋律は、静かな反戦の、抵抗の歌声。私たちは、どんな境遇にあっても、自分が何者であるかを忘れないでいよう。亡くした最愛の人のために、生きていかなければならない自分のために、歌おう。そんな歌声を指揮するグレン・クローズの表情が、実に素晴らしい。『危険な情事』では私の肝を縮み上がらせたグレンだが、この女優は、本当に演技の幅の広い人だよ。大戦中にあった実話で、このとき収容所で歌った女性たちは、存命している。銃をとることだけが「戦うこと」では決してないのだと、静かで深い勇気が湧いてくる。いい映画です。