1.近年のゴダール作品の例にもれず本作も難解極まりない。
いや、難解さだけで言えば完全にトップクラスだった。
しかも『ゴダールの決別』の様な心奪われる映像美があるわけでもない。
無秩序に現れては消える言葉と映像と音楽の洪水。
たった80分の上映時間だったが、後半はかなり息切れ状態になった。
しかし、これでもかこれでもかと過去の監督の名前や作品名、俳優・女優の名前などが引用される様は観ていて楽しかった。
覚えているだけでも、「ロッセリーニ」「ヒッチコック」「メルヴィル」「ダニエル・ダリュー」「バーグマン」「トリュフォー」「ヴィゴ」「雨月物語」「赤い砂漠」「モニカ・ヴィッティ」「ドゥミ」「エイゼンシュテイン」「シュトロハイム」「ドライヤー」「北極のナヌーク」などなど。
とにかく引用の雨あられで、それらを目で追っているだけでも飽きない。
おそらくこの作品は、より多くの映画(とは言っても、ハリウッド映画ではなく)を観ていれば観ている方ほど、楽しめる作品ではないだろうか。
今回は一人で観に行ったが、それが正解だったというのが率直な感想。
よほど“心得(こころえ)”のある人とでもない限り、文句を言われること間違いなしだろうからだ・・・