1.映像センスと音楽センス、そして登場人物の服装や髪型が、おそろしく痛々しい作品であります。
例えるならば、一昔前の香港映画、もしくは1980年代辺りのイケてない日本映画に似た香りがしました。
ホウ監督の作品としては、並といったところでしょうか。
特別面白くはありませんが、この監督ならではの雰囲気は良く出ています。
ホウ監督の作品を楽しむためには相当な鍛錬が必要なようです。
少なくとも私はそうでした。
いくつものホウ監督の作品を観ているうちに、だんだんとこの監督の魅力が分かってきたような気がします。
というか、この監督の作品を観慣れていないと、退屈極まりないと感じる人も多いと思われます。
ホウ監督の撮る映像は、おそろしく自然です。
その為、何にも起らないという気分になってしまうかもしれません。
ところが、その優しい映像を通して、私達が日頃何気なく感じている「何か」をさり気なく訴えかけてきます。
ホウ監督は紛れもなく天才です。
こんな暖かみのある自然な映像を撮れる監督は世界中探してもそうはいません。
観れば観るほど、病みつきになる。
そういった魅力がホウ監督の作品には漂っているのです。