7.戦時中製作のフリッツ・ラングのナチスが絡むスパイサスペンスだけに、
「恐怖省」というタイトルからして、他の同時期のラングの作品同様の凄味のある作品かと思っていたのですが、
意外にも気軽に見ることができる小気味いい巻き込まれサスペンスでした。
巻き込まれサスペンスと言えばヒッチコック。
本作も巻き込まれた一般人の主人公と、事件の渦中で出会う女とのロマンスを絡めているあたりも
ヒッチコック・タッチの巻き込まれサスペンスとなっています。
それでも冒頭の「自由国家の母の会」なる団体が開催する慈善バザーから全編にわたり
作品を支配する不穏な空気にはヒッチコックのそれとは一味違うものを感じます。
しかし、危機を脱した愛し合う2人の何事もなかったかのようなハッピーエンドのラスト。
「ケーキも用意しなきゃ!」「何!ケーキだと!」のユーモアを交えたラストには意表を突かれたのでした。