2.題名通り、マンハッタンが舞台。
それもほとんどが夜。
ジャン=ピエール・メルヴィルの手腕がここぞとばかりに発揮される設定となっている。
話は正直言って分かりづらいし、さして面白くもない。
しかし、メルヴィルの描き出すマンハッタンの夜は、メルヴィルにしか描くことのできない、実にハードボイルドな暗の雰囲気に満ち溢れている。
夜のマンハッタンにうごめく裏社会の人間たちが描き出されており、それらが淡々と描かれるドンヨリとした雰囲気に、酔いしれるための映画かもしれない。
モノクロの映像も一躍かっており、わびしいながら大都会然としたマンハッタンの街並みが、効果的に映像化されている。
マンハッタンの夜に、トレンチコートを着た男たち、都会の夜を疾走する高級アメ車、犯罪のにおい、寂しい光を放つ高層ビル群の灯り。
その全てを自由自在に描いてみせた、メルヴィルの監督しての手腕と個性に拍手を送りたい。