1.《ネタバレ》 2人の主役AYAと麻子について。AYA役の浜田文子は、日本人ルチャドールのパイオニア、グラン浜田の娘という業界のサラブレッドであり、設定同様日本女子プロレス界のビッグネームです。さらにフリーランスの期間があり、あまり好敵手に恵まれなかった印象もあります。つまり現実の浜田文子と劇中のAYAは境遇が似ているのです。その事を踏まえてみると、彼女の言動が妙に納得できました。自尊心が高く身勝手。そして世間知らず。実際の浜田文子がどうかは知りませんが、プロレスラーのイメージサンプルとしては合っている。もう一人の主役、麻子の方はドラマパート担当。観客は彼女に感情移入して物語に臨むことになります。ところがこちらの出来が良くない。妹の難病設定は無理矢理だし、親父の立ち位置はあやふや。麻子自身の想いも伝わって来ません。その結果、彼女の人生のドラマと試合が重ならず、もどかしい思いをしました。現役女子プロレスラーも俳優陣も演技力が不足しており、観ていて辛かった。その粗を隠すためにモノクロ映像にしたのではないかと勘繰りたくなります。白黒からカラーへの切り替わりは、主役2人が“光った”証だと思いますが、あんなしょっぱい試合で満足出来るなら、プロレスラーを辞めたほうがいい。試合シーンは映画のクライマックスとしても、純粋にプロレスとしても、つまらないものでした。大好きなプロレスを扱った映画ゆえ好意的に捉えたかったのですが、今回は無理でした。ごめんなさい。そして残念です。