2.シンプルなドラマなら誠実に正攻法で描けば良いものを、このやたら奇を衒った目まぐるしい編集は何なのだろう。シークエンスを細かく寸断しまくり、無闇やたらにフラッシュバックしまくりで観客に無駄な混乱を与える意義がまるでわからない。このような細切れ編集がスタイリッシュとでも勘違いしているのだろう。人物相関も不明瞭な上、主人公を美しく撮る意気が見えないので当然、キャラクターへの思い入れなども起きようがない。主人公と少女が再会する会場内の位置関係の不明に見られるように、空間把握も不満足。試合場面は、延々と解説者の解説音声を垂れ流すという極めて安易なテレビ的発想に寄りかかる貧困ぶり。悪趣味の極めつけは、彼女を応援する観客たちに、足を踏み鳴らして採点に抗議させるというクライマックスの信じ難い見苦しさだ。やる気のない仕事どころか、積極的な悪意を感じた。