1.《ネタバレ》 グレゴリー・ペックの海の男役は私にはどうしても違和感があるのですが、前年の同じくペックとウォルシュのコンビによる同じく海洋ものの「艦長ホレーショ」よりも、波しぶきが激しい船の競争が用意されているので海のシーンが面白いです。またウォルシュ作品によく見られる、主人公とヒロインとの喧嘩はあっけないものですが(立つ姿勢と座る姿勢で変わる視線の高さが整って仲直りする見せ方は良い)、その代わりに何かとやりあうのが商売敵?のアンソニー・クインで、普通ならこの役は完璧に悪党扱いなのですが、腕相撲からはじまって過激な船の乗っ取り合いに到るまで、まるでトムとジェリーのように仲良く喧嘩します。そんなこんなで物語はかなりいいかげんなのですが、とにかく豪快で(されど恋愛シーンは繊細だ)痛快な活劇となっています。また、鞭打ちを受けるペックを(ペックもっと痛がってくれ!)身を捧げて助けるアン・ブライスの宝石よりもキラキラと輝く瞳の美しさも忘れらぬものとなっています。