1.《ネタバレ》 スタンドで新聞を探す男は明かりがつくと慌てて顔を背ける…。この男は何らか事件に絡んでいると一目瞭然な冒頭からしてミステリアスで、ただならぬ気配が漂っており観客の心を鷲掴みするものです。その後もアン・バンクラロフトとのバーでの出会い、調査員のシーン挿入の巧みさ、強盗の二人組のキャラクター造型と見所がありますが、最後の対決シーンで除雪車と小屋までの足跡しかないのに「危ない」と言いながらも何の用心もなしに近寄って行ってしまうのは間抜けに見え緊張感を欠いています。 ただここは、強盗たちが小屋の窓枠からヌッと姿を現すところを見せたかった一点に尽きるのでしょう。それに、そもそもファッションショーの会場から逃げ出す際、アン・バンクロフトは走ることは微塵も考慮されていないドレスで逃げ出し、早歩きすらままならないので主人公にお姫様抱っこされるのですから、つまりこれはハネムーンへの出発なのであってハッピーエンドはこの時点で既に約束されていたのです。