61.《ネタバレ》 二人の子役の演技自体は素晴らしい。
プロットも悪くはないが、深みがまるでないのが問題だ。
単なるホラーモノの仕上がりであり、これでは殺し屋を子どもに置き換えただけではないか。
やはり、マコーレーの内面を描かなければ、意味がない作品だと思う。
単純に「母親の愛情を独り占めしたい」という欲求からの行動と思いながら鑑賞していたが、そういうニュアンスを醸し出しながらも一歩踏み出してはいない。
これでは、ただの悪戯のエスカレートという見方しかできない。
本作の内容ならば、動機や心理的な面に触れないと、個人的には高い評価はしたくない。
作者が狙ったのかどうか分からないが、非常に後味も悪い幕引きとなっている。
(嘘ではあるが)「I LOVE YOU」と叫ぶ実の子どもを見殺しにして、他人の子どもを助けるというオチの付け方はなかなかショッキングなものだ。
作中では軽く触れられていたが、まさか「母親の霊が乗り移った」わけでもないだろう。
甘い仕上がりとなるが、最後の最後で悪人が善人になるというパターンでもよかったか。
マコーレーが「I LOVE YOU」と母に告げて、自ら手を放すようなオチにすると、後味はぐっと良くなる。
マコーレーも実は寂しい子どもだったと観客にイメージさせることもできる。
「オーメン」のようなホラーならば、“悪魔のような子ども”というイメージでもよいが、そういう趣旨とは思えない作品だ。
大人が殺し屋の場合、突然の更生には違和感を覚えることもあるが、子どもの場合には更生する機会を与えてもおかしくないだろう。