4.《ネタバレ》 実に豪華な出演陣。
そして監督さんは「ウォーリアー」を手掛けた人と知り、観るのを楽しみにしていた一本なのですが、少々ノリきれない内容でした。
期待値が高過ぎたのでしょうけれど、真面目で丁寧に作られた刑事ドラマだなと思う一方で「胸を打つ」「心に響く」といった感情を抱く事が出来ないままエンドロールを迎えてしまい、残念でしたね。
理由を分析してみるに、まず主人公であるエドワード・ノートン演じるレイと、コリン・ファレル演じるジミーの、どちらにも共感を抱けなかったのが大きかったかなと。
いくら家庭の事情があるとはいえ、完全なる悪徳警官なジミーの事を同情的に描いているような作りには違和感を覚えますし、レイに関しても、公的な意味での「正義」と「家族」どっちつかずな印象を受けてしまいました。
特にノートンは好きな俳優さんなので「もっと両者の板挟みになって苦悩する男を魅力的に演じられたのでは?」なんていう、身勝手な不満も抱いてしまいましたね。
終盤に銃を置いてから二人が殴り合う展開、ジミーがレイを庇うようにして犠牲になる展開なども、心の歯車が映画とカチっと合わさっていれば、きっと感動的な場面だったとは思うのですが、自分ときたら「えっ? 何でそうなるの?」とボケた反応をする始末で、恐らくは物凄く真面目に作ってくれたであろう監督さん達に対し、申し訳ない思いです。
導入部の、スタジアムから事件現場へと視点が切り替わる流れには、本当にワクワクさせられましたし、一見すると模範的な警察官一家が大きな歪みを抱えているというストーリーを丁寧に描いてくれた作品だとは思います。
あと何かもう一つでも取っ掛かりがあれば「好きな映画」と言えそうなものを感じさせてくれただけに、残念な映画でした。