4.《ネタバレ》 POV方式の映画って、たまに凄く観たくなります。
手ブレの多い映像は苦手なはずだし、このジャンルが特別に好きという訳でもないはずなのに、それでも禁断症状のように身体がPOVを求めてしまうのですよね。
本作も、そんな欲求を適度に満たしてくれる「お化け屋敷的な映画」として、気軽に楽しむ事が出来ました。
物凄く怖いという訳ではないのですが、何処か安心感を伴った「約束された怖さ」を提供してくれる感じですね。
こんな具合に、やたらと血が飛び出したり大きな音で驚かせたりする訳でも無い、落ち付いて観賞出来るホラー映画って、貴重だと思います。
内容としては、ノーカット風の撮影でリアルタイムな感覚を重視した作りが意欲的。
手ブレも比較的控えめで、観易い映像だった事も嬉しかったです。
才能はあるのかも知れないが、今一つ芽が出ないでいる映画監督の主人公と、その弟のカメラマンとの関係性なんかも、程好い生々しさがあって好印象。
ずっと昔に、短編映画の賞を取った事を自慢のタネにして、自分は凄い奴なんだと見栄を張っている兄の姿なんて、妙にリアリティがありましたね。
そんな兄を馬鹿にしながらも、律儀に映画撮影に付き合い、本心では兄を認めている弟。
舞台を一箇所に限定する事なく、この兄弟で色んな怪奇スポットを次々に巡っていく内容なんかも、観てみたかったものです。
オチは投げっぱなしで納得がいかないし、回収されていないと感じる伏線も多く、総じて「面白い映画」とは言い難いものがありましたが、細かい点で好印象を与えてくれる為、何だか憎めない、愛嬌のある映画でした。