2.《ネタバレ》 P-12。残酷なシーンがあったら嫌だな、と思いつつ観に行きました。主人公のアルバート氏がどうして男として働く道を選んだのかは、大体予想がついたので。
舞台から映画への変換が、ちょっと上手く行ってない感じも…。カットが悪いのか繋ぎ方が不味いのか、話の展開の仕方に間の悪さを感じるのが残念。話自体も駆け足な印象はあります。113分だからもう少し尺を取れなかったのかな…。
ただ、淡々としたロドリゴ・ガルシアの撮り方は良かったように思います。
誰かが死ぬとどうしても悲しい気分が続いてしまう人には、お勧め出来ない作品かも知れません。
男装するグレン・クローズは、メイクや髪型、演技は素晴らしいけれど、目の優しさ、頬や声の柔らかさが、やっぱり男性には見えない。それが残念なのではなくて「ああ、やっぱり女性なんだな…」という不思議な実感でした。
もう一人の男性として生きるジャネット・マクティアも身長は立派で、体格も立派に装っているのですが、やっぱり目や声が女性。
男性っぽい仕草は、ジャネット・マクティアの方が上手かったように思いました。
暴力によって人生が変わり、暴力によって人生が終わる主人公アルバート氏の人生を、どう受け止めるかは個人によって違って来るかも知れません。
恋愛に対してひどく真面目なんだけどアルバート氏のちょっと、かなり的外れなやり方に腹立たしく感じる人もいるだろうし、それも理解出来るのです。
ただ、美しい娘であるヘレンの心が(同性とは知らなかったけれど)アルバート氏に動いたあの扉のシーン、そして最後の「この子はそうならないようにしよう」と微笑んで言ったヒューバートの台詞が、厳しい時代を懸命に生きたアルバート氏の人生にも意味はあったのだと、確信出来るラストでした。
パンフレットのインタビューを読む限り、主役のグレン・クローズもそう願って製作されたみたいなので。
最後に少しだけ、アルバート氏に「良かったね、無駄じゃなかったよ」と言いたくなる作品です。