1.映画中盤に、双葉町へ一時帰宅する避難家族たちの模様が映し出される。
舩橋淳監督ら撮影クルーも同行しているが、幾つもの家族を追うには限界がある。
監督から預かったビデオカメラだろうか。取材対象であった中井裕一さんは
自ら機材を持って、被災地の様を記録していく。
墓参に訪れた墓地は荒れ果て、あちらこちらで墓石が崩れている。
中井さんの慨嘆の声。カメラは激しく動揺し、忙しない。
時間がない、と怒鳴りながら親を急かす中井さんの切迫した声が胸を衝く。
限られた時間の中、頼まれてきた思い出の品々を家具の中から慌ただしく探し出す
一時帰宅者たちには悲しむ余裕も無い。
一方で、避難所の家族たちに寄り添うローポジションのカメラ、
牛舎の中で餓死している牛たちの惨い姿に正対するカメラの意志的な構えと
スタンスは揺るぎなく、厳しい。
民主党の海江田・細野らによる恐るべき珍セリフも忘れがたい。