1.《ネタバレ》 ライター志望の女学生は老コラムニストから学ぼうとアフローチするが、相手は女学生の体にしか関心がない。
マリア・バルベルデの相手役の老人がずーっとしゃべっててウザいことこの上ない。
下心まるだしの鼻持ちならない人間で、たるみきった皮膚にも嫌悪感。
知識人ぶった持論をもって文学や政治を理屈っぽく語り続けるが、それと並行して終始セックスさせろと言葉を変えながら口説いている。
哲学的なことを語っているかと思えば、それはいつの間にかおまえは俺とセックスするべきだという結論にこじつけられる。
これがあまりにしつこくあけすけで、必死すぎるその姿にだんだん笑えてくる。
恥も外聞もなく老醜そのものだが、そこまで開き直ることのできる強さと鈍さが女の心を揺り動かす。
そんなにヤリたいならヤラせてあげると根負けしたか。
バカな女が屁理屈説教ジジイとセックスしちゃった話といえば身もふたもないけれど。
老人は相手にされない自分をとことん蔑み卑下することで、女学生の罪悪感と同情を引き出したように見える。
女学生は老獪な企みにまんまとはまった感じ。
同年代の男より老人との新しい体験に興味を持ったのかもしれないが、ここは最後まで老人を惨めに落としてほしかった。
老いた男と若い女の価値観がまったく違っていて、そのギャップから生まれる葛藤が見どころ。
二人の会話だけで成り立っていて、しかも女と寝たいがための老人の口説きが大半を占めるという特異な作品。
動きがほとんどなく会話に頼っているため、どうしても単調になってしまうのが難点で、さすがに途中でダレる。
年輩者のやたら長くて興味のない話を無理やり聞かされている時に感じる、あの居心地の悪さとイライラ感と退屈感。
それでもちょっと邦画にはないおもしろいテイストはある。
制作費はめちゃくちゃ安そうだったけど、エロティックVシネマのようなチープなB級感ではない。