1.アフリカにおける広さは何段階かあって、「中ぐらいに広い」とか「もっと広い」とかあるのね。日本だと、「狭い」と「広い」だが、あっちでは広さが幾種類にも分類されているよう。それまでもずいぶん広かったが、放浪すると「とっても広く」なる。前作『ヤーバ』でおばあさんが薬を取りに行くところでグーッと広がったのと同じ。共同体を出た心理的広がりでもあるんだろう。共同体の鬱陶しさは、日本もブルキナファソも同じにあるんだ。それにしても、いつの時代か知らないが、この国の男たちは普段何をしてるんだ。ただボーッと歩いてたり、立ってたりしてる。特別遊惰に身を持ち崩しているわけでもなく、ただ働いていない。息子の恋人を盗っちゃうお父さんって、さぞ脂ぎった人物かと思ってると、骨と皮のおじいさんが出てくる。厳格なるものの象徴なんだろう。日本だと共同体って女王蜂的イメージがあるのか女性的なるものに感じる面もあるが、あちらはあくまでも男性的。これ重要な違いね。ボーッと立ってても食っていける男性たちの支配なんだ。女たちが日本なら「あらあらあら」っていうようなところで「ぽぽぽぽぽ」って言うのがいい。