1.《ネタバレ》 新東宝で“海女もの”と並んで異彩を放っている“地帯(ライン)シリーズ”の栄えある(?)第一作であります。製作された昭和33年は売春防止法が施行された年で、その売防法の裏をかく売春組織を描くのが“ライン・シリーズ”の共通したプロットです。そのテーマからすると、同年に撮られている『女体桟橋』が起源という説も有りますが、まあはっきり言ってどうでもイイことでしょう。 トルコ風呂なんて懐かしい代物が最新の風俗業と言うことで時代を感じさせてくれますが、こと色の道になりますと古来より日本人は才能を発揮してきたんだなと素直に感心いたします。主人公の刑事は宇津井健、彼にほとんど芝居をさせずに犬のように売春組織を追いつめてゆく姿を市街ロケを多用してドキュメンタリー・タッチで描いています。そして特筆すべきはこの映画こそ菅原文太の映画デビュー作なんです。役は大友純の子分のチンピラギャングでセリフもほとんどないんですが、これは確かに文太です。 ここでどうしても触れておきたいのは、私が観たのはオリジナルの71分が13分もカットされたバージョンだったことです。つまり上映時間にして2割は短いということで、正直言って観てて筋を追うのがやっとという感じでした。1シーンで5カットあったところを3カットに短縮してる様なものですが、ローアングルを多用した意欲的なカメラワークなのでちょっと残念です。