1.《ネタバレ》 この種のドラマでは、演奏後の大喝采や敵対していた少年との和解や教師たちとの別れのシーンをオーケストレーションで盛り上げて
ベタ&ウェットに演出するパターンを和洋問わずさんざん見せられてきたが、本作はその点、物足りなさを感じてしまうくらい淡白でドライだ。
子供たちは安手の仲直りの段取りなど踏まないし、ドラマチックな別離のハグも握手もない。
演奏会を前に皆で一致団結して頑張りましょう的な安手のチームワークもない。
その簡潔な視線と短い台詞のやりとりの中に真情を込める節度あるディレクションがよろしい。
ここでは少年と大人たちとの関係が重視されており、大人への成長が一つの主題となっている。
少年期のみの音域というのもドラマのポイントで、発表会大成功の単純なサクセスストーリーに終わらないのも脚本の妙だ。
次のシーンの音や音楽を先行させて前のシーンに被せる、いわゆる音のズリ上げを用いた繋ぎが多用されていているのだが、
対話の中に合唱が重なってしまって煩わしい部分もある。やりすぎは良くない。