1.《ネタバレ》 まるでキング・ヴィダ―の『戦争と平和』(1956)に対抗するかのような70mm戦争スペクタクルである。
広大なロケーションとエキストラを駆使してLVTによる米軍上陸、艦砲射撃、嘉数の対戦車戦、52高地戦まで再現している。
1971年の東宝作品『沖縄決戦』と比べても段違いなスケールは、米国同様にテレビとの差別化を模索していた時代をうかがわせる。
内地側、日本軍、沖縄県民、そして岡本版ではほとんど表象されていない米国軍側のドラマまで、盛り込みすぎなくらい盛り込まれ、
各々の劇は都度寸断されて散漫な印象である。
これも叙事詩的リアリズムと呼ぶべきだろう。
戦争スペクタクルの中に肝心なひめゆり部隊のドラマが埋没してしまっている。
内地側の都合によるキャスティングも、内地側の論理に従ったナレーションも、時代を超えることは出来ない。