1.《ネタバレ》 ストーリーは、ざっくり言うと少女の家出物語。
人生が厭になって、家出とか失踪とか放浪願望を少しでも抱いたことのある人ならきっと共感できる内容だと思います。
自分は独身で子供もいないので、親の気持ちになるというよりも少女の方に肩入れして観ていたのでとても開放的で楽しく観ることが出来ました。
自分は、まぁ、放浪という程ではないですが、フランス旅行に行ってレンタカーを借りて自由気ままに走ったりしたことがあるので、ラウンドアバウトとか道路標識とかに懐かしさを感じてしまったり、後半辺りで出てきた近代的な教会が最高に素敵だったりと、自分個人的にいろいろとツボな作品でした。
序盤は陰鬱な雰囲気の中で物語が進んでいくのですが、そこを耐え凌げば少女とトラックの運ちゃんとの間で心が通じ合ってゆく様を描いたロードムービーです。
家出の話だから、ストーリーは勿論自由。
カメラや演出もそれに追従するかのようにとにかく自由。
画面作りはゴダールのようであり、個人的にはアンゲロプロスを彷彿とさせるシーンもあったように思えます。
ストーリーの大半を占める二人の交流を描く場面ですが、運ちゃんがよそ者だという設定が良い。
二人の間に言葉の壁があり、必然的にコミュニケーションが凄くシンプルになっているところがとても映画的で面白く感じられました。
惜しむらくはラスト。
性的暴行を匂わせる描写などは皆無の良いストーリーだっただけに自殺する意味は全くなく、それぞれがそれまで通りの日常に帰っていってほしかったです。
蛇足ですが、この映画を見た後でコンビニに寄るとハムとチーズのバゲットサンドを見つけたので思わず買ってしまいました。