2.《ネタバレ》 これがパルムドールか……
『預言者』に続き、フランスに押し寄せる難民問題に焦点を当てるも切り口が平凡。
家族と偽りパリに渡った赤の他人三人が如何にして日々を生き抜いているのか、
ニュースでは表面的に描かれているだけに関心はあった。
しかし、こうも簡単に順調に生活が上手くいくのか疑わしい。
二人の"夫妻"がくっついたり衝突するのは描かれていても、
"娘"の描写が希薄でいつのまにか影が薄くなっていく始末。
次第に積み重なっていく不穏と鬱屈が爆発するアクションのシークエンスは、
主人公のみ見せて他はあまり映さないスタンスで、彼のPTSDを追体験させるつもりでも、
直後に取ってつけたハッピーエンドのアンバランスさに違和感。
イギリスに着いてめでたしとは限らないのに、主人公の妄想なのかひとときの安堵なのか狙っているの?
パリ同時多発テロ、イギリスのEU離脱後では呑気にこんな映画は撮れないだろう。
エンタメ寄りのオーディアールにしては詰めの甘さを感じる。