2. 紀元前の雁門関を舞台に、あったかもしれないローマ軍と前漢軍との邂逅を描いた物語。史実を基に……とは言うものの、史実1割、脚色9割ぐらいで考えておいた方がいいだろう。
取り立てて良い話ってわけでもなく、出てくる人間が多いせいか描きこみが弱く人物像が薄っぺらいのが少々気になるが、それなりに見応えはあるし、映像はロケ、セット、CG、書き割り等々を上手く使って、中央アジアの広大かつエキゾチックな大地を描きあげている。欧米では相当のヒットを記録したということで、作品としての完成度の高さは世界が認めるところなのでしょう。ただ。この映画、所々話が跳ぶと言うか、話が強引に進むところがある。まぁ、その理由は後に書くけれど……。
そして我らがジャッキーも、60歳を超える年齢を考えると本当によく動いてる。2度目のアメリカ進出でCGに頼りすぎて全く動かなかった頃を考えると、この10年くらいの年取ってからの方がアクションに気合が入ってる。とは言え、やはり全盛期を観てるから、何となく物足りなく思えてしまうのはジャッキーファンの贅沢ってもんですかね。
ところで、この作品に関して少々気になる話を聞いた。それは、中国での初期公開版と日本公開版(おそらく他の国での公開版も)は全然違うという話。日本公開版は、テーマはともかくテイスト的には『ラスト・ソルジャー』に近いモノだが、中国版は『MYTH』に近いテイストだという。雁門関の発掘に携わる男女の研究者2人が、紀元前の戦いに夢現に巻き込まれる……そんな話らしく、そこにはご都合主義で史実とは辻褄の合わないところが結構あるらしい。そんな部分を極力削って、何とか史実に沿わせ、許せる範囲にしたのが世界公開版だという噂。どこまで本当のコトかは分からないが、話が跳んだり強引に進むのはその所為か、とも思える。
ま、いずれにせよ、2015年時点でジャッキー・チェン健在なり! と、まだまだ現役を世界にアピールした大作。