7.《ネタバレ》 狭い地元コミュニティーの閉そく感や、痴呆老人の介護に苦しむ家庭といった重荷を、通奏低音として描きつつ、女子高生の暴力や、度を越えた落書き、自由な快楽としての性交渉を開放的な不協和音として不気味に響く。
気楽でありながら、常に現実の不潔さを意識させる手法は、素人のようなカメラワークにもにじみ出ており、見るものを不快にさせる。
ステンシルの行方不明者でもある春子は、殺されたわけでもなく、暴力の被害者になったわけでもなく、自分から「優雅な生活」を求めて、自分のこれまでの生活を捨てて行方をくらまし、旅立った。
では、その旅立ちで優雅な生活は得られたのか、という疑問には、最後に赤ちゃんを笑顔で抱いている姿は「得られた」と言っているようにも思える。そこには父親は存在しないが、この映画ではオヤジも警察官もアニメのマフィアも、男は皆、成敗される存在である。
男性としての私は正直楽しめなかったが、女性視点からは違った感想が得られるだろう。
いろいろ考えさせられた意味で、点数は甘目につけたい。
ちなみに、「バニー・レークは行方不明」とは全く関係なさそうだった。