2.《ネタバレ》 トルコ空軍のパイロットの話である。邦題はいい加減につけてあるが、原題の “Anadolu Kartalları”(Anatolian Eagles)は実際にトルコで行われている国際合同演習Anatolian Eagleに由来している。トルコ空軍の協力により実機の見える場面が結構多い。
戦闘機映画として売る思惑もあるのだろうが、実際は訓練生の段階から始まるので前半はほとんど練習機であり、主人公の乗機がT-41(台詞だけ映像なし)~KT-1T(プロペラ機、なんと大韓民国製)~T-37(初等ジェット練習機)~T-38(高等ジェット練習機、F-5戦闘機の原型)と移行するのが訓練の高度化に対応していた。訓練校を卒業してからは、主人公のF-16戦闘機、同窓生のF-4戦闘機なども映っており、また曲技飛行チームTürk Yıldızları(Turkish Stars)のF-5も見えていた。
構成としては、冒頭がF-16のスクランブルで始まるがすぐ終わってしまう。現代トルコの映画なのでやたらに戦闘場面があるわけもなく、終盤の合同演習が実戦代わりだったのだろうがそれほどの迫力もない。笑えないコメディとか唐突に死去する人物とか唐突に鳥さんたちがかわいそうな展開になったりするのは感心できないが、基本的に娯楽映画なので仕方ない。
全体的にはラブストーリーのようでもあるが、戦闘機乗りの物語としては凧の話が重要だったらしい。最初に教官が語った言葉自体はほとんど意味不明だが、そのうち主人公がその意味を自ら悟って自分のものにしていく展開になる。主人公にとって恋人の存在は中途半端に思われたが、最終的にはっきりした位置付けができ、戦闘機映画とラブストーリーの統合もなされていた。ちなみに整備士も彼女と同様の立場であることをアピールしていた。
なお最後がデモンストレーションチームへの配属を喜ぶ場面で終わったのは、戦うことよりパイロットとしての高みを目指していたということらしく安心できる。国の守りを固めるのは重要としても、やたらに戦争しないことが望まれるのは当然である。
登場人物としては、特に主人公の幼馴染は愛嬌があって世話焼きで感じのいい人物だった。卒業式で司令官に声をかけられている顔が可愛かったが、首席卒業だったとのことで侮れない。この人が一番好きだ。
[以下雑談] テーマ曲はサビの部分で「ギュレギュレギッチョヌーン」と聞こえるのが耳につくが、これは “Güle güle git canım” であって、愛しい人に別れを告げて送り出す言葉のようである。曲の題名は “Güle Güle”(さようなら)らしい。