12.《ネタバレ》 2019/5/30追記 追悼、降旗康男監督。
「良い映画」との前評判から劇場鑑賞したかったが都合が合わず、WOWOW放送を録画してようやく鑑賞。
予備知識皆無で臨んだ事も功を奏し、充実した時間を過ごす事が出来た。
噂に違わぬ良作。 邦画としてあるべき姿を提示された様に思う。
書きたい事は沢山有るが、以下列記させて頂く。
1.柄本祐の演技をまともに観るのは今回が初めて。今は「只の七光り俳優」だと認識していた自分を恥じている。
他二人に比べ出番は少ないが、どちらかと言うと無表情な演技の中で時折見せる表情の変化や所作が強烈な印象を残す。
「剣岳・点の記」で香川照之を見直した時の様な感覚を覚えた。 今後に期待したい俳優さんだ。
2.長澤まさみのファンになった。本作は彼女の出演作としてはおそらく相当地味な部類だろう。
人生に疲れ、寂しさを感じている一人の女性を上手く演じていたと思う。
岡田準一の母親が自殺未遂を起こした後、病院の廊下で二人で話すシーンのしみじみとした良さは特筆ものと言える。
3.木村大作の撮影。 もはや鉄板とも言える存在の日本映画界での重鎮らしく、随所で素晴らしい仕事をしている。
4.岡田準一と小栗旬 柄本祐ほどではないにしても、中々上手い役者さんだと思う。
特に岡田準一の本業は(本人は嫌がると思うが)アイドルタレントの筈。 上付いた所もなくしっかりと重厚に過去に暗い闇を抱えた男を演じていたと思う。
5.物語の構成 柄本祐が殺される件はあくまでも本作を構成する幹に生えている一本の太い枝に過ぎない。
他レビュアー諸氏もご記載の通り、本作の根幹は「過去との対峙と、それを乗り越えての再出発」に有る。
こういった意味では、ラストの小栗旬の告白(内容は伏せる)と、それを経て思い出の喫茶店を自ら解体する時の何とも言えない表情は観ていて泣けてきた。
今後も繰り返し観る事になるであろう、良作とまた出逢う事が出来た。。